市況研究社日報

韓国の飼料用トウモロコシ購入価格

「市況研究社日報」(穀物) 2018年3月12日(月)

このかんの推移をひと言で記すと「韓国が米国トウモロコシに回帰したとき米国の物流経路は悪天候が襲っていた」いうことではないかと思います。ひとつ、ひとつの要素に驚きはないが、それらが重なると、市場の思惑人気を暴走させた。

為替(ドル円)については、本年(2018)1月から2月の切片移動によって2010~2012年の線形回帰の水準に回帰したと考えています。市場テーマが動くとき、あるいは市場テーマが変わるとき、1次関数<y=Ax+B>の切片(B)がおおきく移動する。切片(B)が移動しているときは、あたかも「目的変数」(y)と「説明変数」(x)が逆行しているように見えることがある。本日3月12日(月)の為替は、米2年債利回り「2.27%」で計算すると基準値は「107.05円」、想定レンジは「1ドル=107.05-106.80-106.55円」です。

韓国の米国トウモロコシ(飼料用)の購入価格

韓国配合飼料会社の米国トウモロコシの調達価格(飼料用、PNW積み、韓国6-7月入着玉)は「220ドル」水準となった。

●2018年3月8日(木)
※米太平洋北西岸(PNW)積みが続いていると想定される。
Buyer    韓国飼料協会
Seller    ETG
Origin    optional-origin 飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   60,000トン
Shipment   米PNW    2018年5月22日~6月10日
       米ガルフ  2018年5月2日~5月21日
       南米    2018年4月27日~5月16日
       南アフリカ 2018年5月7日~5月26日
       東欧    2018年5月2日~5月21日
Arrival   2018年6月25日
C&F basis  $223.42/ton C&F
plus $1.25/ton surcharge for additional port unloading

Buyer    韓国飼料協会
Seller    Pan Ocean
Origin    optional-origin 飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   60,000トン
Shipment   米PNW    2018年6月21日~7月10日
       米ガルフ  2018年6月1日~6月20日
       南米    2018年5月27日~6月15日
       南アフリカ 2018年6月6日~6月25日
       東欧    2018年6月1日~6月20日
Arrival   2018年7月25日
C&F basis  $221.19/ton C&F
plus $1.00/ton surcharge for additional port unloading

●2018年3月6日(火)
Buyer    韓国農協(農協飼料)
Seller    Glencore
Origin    米国産飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   69,000トン
Shipment   米PNW   2018年4月28日~5月27日
C&F basis  $218.50/ton C&F

Buyer    韓国農協(農協飼料)
Seller    CJ International
Origin    米国産飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   69,000トン
Shipment   米PNW   2018年5月13日~6月11日
C&F basis  $220.00/ton C&F

Buyer    韓国農協(農協飼料)
Seller    Avere
Origin    米国産飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   69,000トン
Shipment   米PNW   2018年5月23日~6月21日
C&F basis  $219.00/ton C&F

●2018年3月5日(月)
Buyer    韓国 Major Feedmill Group(MFG)
Seller    Louis Dreyfus Company
Origin    米国産飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   68,000トン
Arrival   2018年5月21日
C&F basis  $214.00/ton C&F

Buyer    韓国 Major Feedmill Group(MFG)
Seller    Louis Dreyfus Company
Origin    米国産飼料用黄トウモロコシ
Tonnage   68,000トン
Arrival   2018年6月2日
C&F basis  $213.25/ton C&F

韓国の買い

韓国は、米農務省のウェブサイトが記しているように「a price-conscious buyer」とみなされています。米農務省は世界トウモロコシ取引の項目で日本と韓国を対比し、韓国の飼料原料購入は「価格」が優先すると特徴付けている。わが国については「a steady buyer of corn, with attention to quality」と記している。

シカゴ(CBOT)先物のファンドは「韓国」(=a price-conscious buyer)にチョーチンをつける。韓国が米国トウモロコシの購入を増やしているときは、ファンドにとっても「買い場」とみなし、韓国が米国トウモロコシを購入するほど、その数量が多ければ多いほど、ファンドの買い玉が積み上がっていく。シカゴ(CBOT)のファンドは毎年、毎回、そういうことを繰り返している。

韓国の買いが続いているとき、シカゴ(CBOT)先物ではファンドの買い玉がドンドン増加し、韓国が当面のカバーを一巡させたときには、CBOTトウモロコシは戻り高値をつけていることがよくある。わが国は品質重視の「a steady buyer」なので、日本が米国トウモロコシを購入してもファンドのチョーチンはつきません。日本の購入は「ルーティーンの買い」「通常のカバー」とみなされています。

●韓国は本年1月12日から米国トウモロコシを購入

韓国は4月入着玉から5-6月入着玉、さらに7月入着玉も米国トウモロコシを購入している。
3月=6-7月入着玉の手配
2月=5月入着玉の手配
1月=4-5月入着玉の手配

当社では、韓国の飼料原料手配が米国トウモロコシに回帰したとき、米国の物流経路は季節要因で混乱していたので、米国積み地の現物数量確保に逼迫感を発生させたと考えています。

●米国トウモロコシの物流経路は季節的要因で混乱

韓国が米国トウモロコシに回帰したとき、米国トウモロコシの物流経路は悪天候が襲っていた。

米国トウモロコシの物流経路は、中西部供給地から「米ガルフ」に至る水路物流経路、「太平洋北西岸」(PNW)のシアトル、タコマ、ポートランドに至る鉄道による陸路物流経路があるが、本年2月から3月は両者ともに天候要因などによって遅れが発生した。

米プレインズ北部から「太平洋北西岸」(PNW)へ鉄道による貨車輸送はこの時期、気象条件で遅れる。貨車輸送は積雪や低温などの影響を受けるので、寒冷気象のときは穀物取扱流通業者が予定したようには動かず、手間取ることが多い。

米中西部供給地から「米ガルフ」へのミシシッピ水系物流ルートも、ミシシッピ川東側の2月の大雨で雪や氷が溶けたことによってイリノイ川、オハイオ川、テネシー川、アーカンザス(アーカンソー)川が増水し、瓦礫(がれき)や残骸(ざんがい)を巻き込んでミシシッピ川に流れ込んだ。水運と洪水制御を管理する米陸軍工兵司令部はいくつかの閘門(こうもん)や堰(せき)を閉鎖し、バージ航行を規制した。ミシシッピ州ヴィックスバーグやテネシー州メンフィスでは、バージ輸送が昼間航行に制限された。ミシシッピ下流域のバージ輸送は、通常であれば40隻で船団を構成するが、30隻に規制されていると伝えられた。

米中西部供給地から米ガルフ(Gulf)に至るミシシッピ水系物流ルートが混乱すると、バージ航行が規制され、バージ輸送コストが上昇し、輸送量の減少によって米ガルフ積み地の現物数量がタイトになる。それは2月21日~3月8日の米ガルフのベーシス上昇に表れている。

米国トウモロコシの物流経路は、中西部供給地から「米ガルフ」に至る水路物流経路、プレインズ北部から「太平洋北西岸」(PNW)に至る鉄道による陸路物流経路があるが、両者とも天候要因で遅れが発生し、米国積み地における現物数量の確保をタイトにした。

●「米太平洋北西岸」(PNW)の積取り

現在の「米ガルフ-韓国、日本」「米PNW-韓国、日本」のばら積み外航船の海上運賃からすると、「米太平洋北西岸」(PNW)積みに競争力がある。米国トウモロコシの韓国向け船積みは「太平洋北西岸」(PNW)になる。

韓国は本年(2018)1月12日から、韓国4月入着玉以降を米国産トウモロコシに回帰させてきた。米国産トウモロコシの韓国向け船積みはこれから増加する。しかし、プレインズ北部から「太平洋北西岸」(PNW)に至る鉄道による貨車輸送は寒冷地の天候要因が障害になり、穀物取扱流通業者が予定するようには円滑に動いているわけではない。

韓国が米国トウモロコシに回帰したとき、米国トウモロコシの物流経路は悪天候が襲っていたので、PNW積み地の需要増加に対する対応の遅れが尾をひく可能性がある。米国トウモロコシの東アジア向け輸出において、「米ガルフ」積みより「米太平洋北西岸」(PNW)積みに競争力があるとき、韓国向けはすべて「PNW」に移行し、日本向けの多くも「PNW」積みにシフトしていると考えられる。PNWでは東アジア向けのばら積み船の滞船が増加し、ベーシス水準の高さが続く可能性がある。

●冬の雪が溶けて春がくる

「米太平洋北西岸」(PNW)の貨車遅れや滞船、ミシシッピ川のバージ輸送の規制は毎年、いずれかの時期で発生していますが、いずれ改善します。オハイオ川やイリノイ川の「不可抗力条項」も先週解除されたと聞きました。物流経路の混乱が1年中続くことはありません。

米国産やブラジル産が法外に高騰すれば、競争力のある供給地へ多角化が進むと考えています。先週3月9日(金)の台湾のトウモロコシ購入では「南アフリカ産」が取り沙汰された。

先週の韓国配合飼料会社のトウモロコシ購入価格は6-7月入着玉で「トンあたり 220ドル」になったので、この水準では「競争力のある供給地」があると思います。東欧のウクライナでは、トウモロコシ価格が「飼料小麦」に匹敵する水準に上昇している。

米国プレインズ北部から「米太平洋北西岸」(PNW)への貨車輸送は、寒冷気象の影響を受けるが、その内、春がやってきます。米中西部からオハイオ川、イリノイ川流域の雪や氷は、気温の上昇や降雨などによって溶けるが、その増水が数週間続いたとしても、いずれにせよ春がやってきます。そんなことが1年中続くことはありません。本年2~3月の悪天候による米国の物流経路の混乱は、先週までが一つのピークで、今後は天候改善と共に正常化していくはずです。現在の米ガルフ積み地の逆ザヤも是正されると思います。

2月から3月の米国トウモロコシの物流経路の混乱は、これから春がくることを告げています。そして、米農務省が「2月アウトルック」で公表した本年の作付面積であれば、シカゴ(CBOT)先物の2018年12月限を法外に買い上げる根拠もありません。

●平均への回帰(当社の立場と意見)

当社では、原油市場の売りでも<平均への回帰>を手掛かりにしています。

為替(ドル円)でも、米2年債利回りを指標に<2010-2012年の線形回帰>を展望しています。

同じように、穀物市場でも<平均への回帰>を展望します。アレがあの水準なら、コレはこのあたりという相関があるからです。現在の米国トウモロコシは、需要が異常に増えているわけではなく、米国や南米の天候要因などを手掛かりにしてリバランスが進展したと考えています。下の輸出データは、異常なほど需要が増加しているわけではないことを示しています。

<2018年3月1日時点の米国トウモロコシ輸出

日本向け
期間             船積み累計      輸出成約残高
2017年9月1日~2018年3月1日  377万5,000トン    331万5,000トン
2016年9月1日~2017年3月2日  494万1,300トン    325万5,000トン

<韓国向け
期間             船積み累計      輸出成約残高
2017年9月1日~2018年3月1日  122万7,900トン    113万9,300トン
2016年9月1日~2017年3月2日  291万1,000トン     88万9,300トン

<台湾向け
期間             船積み累計      輸出成約残高
2017年9月1日~2018年3月1日   23万3,400トン     72万0,000トン
2016年9月1日~2017年3月2日  128万5,600トン     92万0,200トン

<メキシコ向け
期間             船積み累計      輸出成約残高
2017年9月1日~2018年3月1日  647万2,200トン    484万0,600トン
2016年9月1日~2017年3月2日  608万1,400トン    489万5,100トン

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