市況研究社日報

今朝の景色が違う

「市況研究社日報」(石油) 2018年7月13日(金)

リビア情勢

●リビア西部の「アルフィール油田」再開

リビア西部の「Al-Feel油田」(日量7万バレル、生産能力日量10万バレル)は本年(2018)2月23日、地元部族と石油施設警護隊によって操業を止めた。さらにリビア西部の「Sharara油田」も3月4日、ジンタン出身の男によって操業を止められ、「Hanada油田」(日量1万2,500バレル)も止まった。

「シャララ油田」と「ハナダ油田」は翌3月5日に操業を再開したが、「アルフィール油田」については石油施設警備隊との紛議が続いていた。

昨日7月12日、石油施設警備隊とのあいだで給与や手当をめぐる紛議が解決し、「アルフィール油田」も再開した。「リビア国営石油」によれば、2日以内に「日量5万バレル」、3日後には「日量7万2,000バレル」になる見込み。

●リビア東部の原油輸出について

リビア東部のハフタル軍がシドラ湾の原油積み出しターミナルの管理を「リビア国営石油」(NOC)に引き渡したことで、リビア国営石油は7月11日朝、シドラ湾の原油積み出し基地すべての不可抗力条項を解除した。

6月14日~7月11日の経緯を記します。

6月14日 リビア東部の元石油施設警備隊のイブラーヒム・シャドランは6月14日、マガルバ部族などの有志達と共に東部の石油「三日月」地帯の原油積み出しターミナルを「ハフタル軍」から奪回した。この衝突で「リビア国営石油」は「ラッス・ラノウフ」原油積み出しターミナル、「アッ・シドラ」原油積み出しターミナルに不可抗力条項を適用した。

6月22日 その後ハフタル軍の反撃を受けて一進一退となり、最終的には6月22日に「アラブ首長国連邦」(UAE)による空爆を受けてシャドランは撤退した。ハフタル軍はシドラ湾の石油「三日月」地帯の原油積み出し基地を再占拠したあと、その管理をトブルクの「東部国営石油」(NOC East)に引き渡した。そして、ハフタル軍と「東部国営石油」はいかなるタンカーに対しても原油の積取りを禁止し、予定していたタンカーの積取りを妨害した。

「リビア国営石油(NOC)は7月1日(日)、リビアの原油生産は「日量31万5,000バレル」に減少したと発表した。リビアの原油生産は「5月~6月」(衝突前)は「日量95万バレル」であった。

7月2日 「リビア国営石油」(NOC)は現地時間7月2日(月)午前11:00(9:00 GMT)、「ズウェイティーナ」および「マルサ・ハリガ」の原油積み出しターミナルにも「不可抗力条項」を適用した。

<不可抗力条項の適用
6月14日~  「ラッス・ラノウフ」原油積み出しターミナル
       「アッ・シドラ」原油積み出しターミナル
7月2日~   「ズウェイティーナ」原油積み出しターミナル
       「マルサ・ハリガ」原油積み出しターミナル

「ズウェイティーナ」と「マルサ・ハリガ」の原油貯蔵タンクは満杯と伝えられた。タンカーへの積み出しが止まると、これ以上貯蔵できないので、内陸部油田の操業に影響がでると懸念された。リビア国営石油(NOC)は、ハフタル軍に対して、積取り禁止命令の撤回を求めた。

7月11日 ハフタル軍は、シドラ湾の原油積み出しターミナルの管理を「リビア国営石油」(NOC)に引き渡した。

リビア国営石油は7月11日朝、上記すべての港の不可抗力条項を解除した。

リビア現地のウェブサイト「リビア・オブザーバー」によれば、ギリシャ国旗を掲げたタンカーが7月11日、トブルクの「マルサ・ハリガ」原油積み出しターミナルに入り、100万バレルの原油の積取りを始めたとのこと。リビア東部のシドラ湾岸の「石油三日月地帯」から原油輸出が再開している。

今朝の景色が違う

数列の漸化式

昔、高校の数学で、数列の漸化式を習ったことがあると思います。それは数列のなかに「構造」と「規則」、あるいは「パターン」と「秩序」を見出すことであった。

当社では、そうした数列の一つとして、原油の市場間価格差や限月間価格差を考えています。

今朝の景色が違う

個人的な意見として、昨日から今朝の「ブレント原油先物」を見たとき、まず感じたことは<景色が違う>ということでした。数字のパターンが変わってしまっており、これまでの規則が消滅しています。

簡単にわかりやすく言えば、これまで「等差数列」の逆ザヤだったものが、今朝の相場では期近4限月が同ザヤです。国際原油取引の指標であるブレント原油で期近4限月が同ザヤとなり、それ以降の限月間価格差も大幅に縮小している。このため、今朝の相場表を見たとき、なにより<景色が違う>という印象です。

ブレント原油の数列

                6月19日 6月25日 → 7月12日
ブレント原油 2018年08月限   75.08  74.73     --
ブレント原油 2018年09月限   74.64  74.55 →  74.45
ブレント原油 2018年10月限   74.16  74.22 →  74.44
ブレント原油 2018年11月限   73.83  73.94 →  74.46
ブレント原油 2018年12月限   73.50  73.60 →  74.44
ブレント原油 2019年01月限   73.18  73.29 →  74.33
ブレント原油 2019年02月限   72.85  72.97 →  74.15
ブレント原油 2019年03月限   72.51  72.65 →  73.95

数列のパターンと秩序が変わった

限月間の等差数列の価格差が縮小し、期近4~5本は同値のヨコ並びになった。原油相場の価格構造と規則が変わっており、今までとは違うパターンと秩序に移行した可能性がある。

ブレント原油先物は、国際原油取引の指標です。国際原油取引の指標で、価格構造のパターンが変わってしまったことは、「ニューヨーク原油」(WTI)にも、アジアの「ドバイ原油」にも、そのパターンと秩序が波及します。

ここ2日間の原油相場で、金融市場の機関投資家の「買い策動」に傷みが発生している可能性がある。無理な買い策動は、逆回転したとき、投資資金の打撃が大きい。当社では、原油先物市場の取組内部要因で、かなり重大なことが発生している可能性があると推測しています。

2018年7月12日(木) ブレント原油
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
09月限 2018  74.17  75.10  72.67  74.45  +1.05
10月限 2018  73.75  75.00  72.70  74.44  +1.11
11月限 2018  73.97  74.95  72.79  74.46  +1.15
12月限 2018  73.93  74.87  72.80  74.44  +1.18
01月限 2019  73.79  74.71  72.74  74.33  +1.18
02月限 2019  73.59  74.49  72.61  74.15  +1.18
03月限 2019  73.38  74.27  72.46  73.95  +1.18
04月限 2019  73.01  74.00  72.32  73.75  +1.17
05月限 2019  72.76  73.70  72.29  73.50  +1.16
06月限 2019  72.75  73.44  71.90  73.20  +1.13

2018年7月11日(水) ブレント原油
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
09月限 2018  78.78  78.83  73.04  73.40  -5.46
10月限 2018  78.64  78.64  72.97  73.30  -5.29
11月限 2018  78.34  78.36  72.96  73.31  -5.09
12月限 2018  78.07  78.07  72.91  73.26  -4.88
01月限 2019  77.75  77.75  72.79  73.15  -4.68
02月限 2019  77.36  77.36  72.60  72.97  -4.50
03月限 2019  76.70  76.70  72.37  72.77  -4.33
04月限 2019  76.40  76.40  72.17  72.58  -4.16
05月限 2019  76.01  76.01  71.88  72.34  -4.01
06月限 2019  75.61  75.61  71.59  72.07  -3.87

------------------------------------------------------------------

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ 市況研究社日報(日刊、E-mail)_総合 _/_/_/_/_/_/_/_/
□ 発行 市況研究社 http://www.shikyo.ecweb.jp/ _/_/_/_/_/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/