市況研究社日報

米EIAの石油統計と原油下げ

「市況研究社日報」(石油) 2018年11月1日(木)

昨夜の原油市場では米EIAが「8月の米国原油生産」を公表し、「8月の米国原油生産が日量平均 1134万6千バレル」に増加していたことがわがりました。「8月の米国原油生産=日量平均 1134万6千バレル」は、石油市場の強気筋に対してかなりの衝撃を与えたと思います。この点は、このあと説明します。

その前に、ドバイおよびオマーン原油の10月価格をまとめておきます。「プラッツ・ドバイ原油」および「DMEオマーン原油」の10月価格(1カ月間の平均値)は、中東原油のアジア向け期間契約原油の10月積み輸出価格(本船渡し条件)の基準になるもので、わが国貿易統計の原油輸入CIF価格を予想するときの基礎データです。

●2018年10月
2018年10月 プラッツ・ドバイ原油の平均値        79.388ドル
2018年10月 DMEオマーン原油マーカープライスの平均値  80.198ドル
2018年10月 ドバイおよびオマーン原油の平均値     79.793ドル
2018年10月 東京仲値の平均値          1ドル=112.82
プラッツドバイ原油 2018年10月限の最終決済価格   56,330円/KL
※日々の動きは当社ウェブページをご覧ください。

●2018年9月
2018年9月 プラッツ・ドバイ原油の平均値        77.247ドル
2018年9月 プラッツ・ドバイおよびオマーン原油の平均値 77.556ドル
2018年9月 東京仲値の平均値           1ドル=111.91
プラッツドバイ原油 2018年9月限最終決済価格     54,370円/KL

米EIAの石油統計

米EIAが昨夜発表した「8月の米国原油生産=日量平均 1134万6千バレル」は、石油市場の強気筋に対し、かなりの衝撃を与えたと思います。米EIAは石油市場を調査し、集計したものを公表していますが、その推計と見通しは大きく動きます。

余談になりますが、昔、「リヒト社の世界砂糖生産」「世界砂糖需給見通し」というのがあった。当時、ソ連やインド、フィリピンやブラジルの砂糖生産をどのように推計し、その在庫をどのように把握しているのか、疑問に感じたことがありました。

現在では「石油輸出国機構(OPEC)加盟国の原油生産」なども似たようなものです。われわれが統計数字で手にすることができるのは「真実に似たもの」であって、「真実」そのものではない。細かく精査して発表しているように見える米EIAの石油統計であっても、あとから修正が入ります。

統計数字はその調査と集計がとても難しく、その源は過去データです。現実に目を向ければ、生産や流通、消費の各局面で<仮需の思惑>が大きく作用するときがあります。その欲と恐怖まで勘定に入れて「需給見通し」を描くことは不可能です。

「真実に似ていること」と「真実」は同じではない。われわれが手にすることができるのは「真実に似たもの」にすぎない。だからと言って、それが「無意味」というわけではありません。われわれは過去データに基づく「統計数字」を絶対化するのではなく、それをどう使うか、その使い方に熟達すべきだろうと思います。

(ⅰ)統計数字があることで共通認識が保てる。
(ⅱ)スタンダードが同じ、同じスタートラインで交渉が出来る。
(ⅲ)長い目で見ればトレンドを表す。

米国原油の増産

米EIAの推計と見通しは、市場の雰囲気に追従しながら変化しています。米EIAが昨夜発表した「8月の米国原油生産=日量平均 1134万6千バレル」は、市場の思惑人気を超えた大きい数字であった。これまで週間速報値では、8月の米国原油生産を「日量 1100万バレル」と発表していたので、その差は「3%」を超えるものであった。

当社では、これが昨夜の原油下げと考えています。

ロイターなどは「米原油在庫が増加した」ことを下げの要因にしていたが、米国原油在庫が来年も引き続き傾向的に増加することは事前に予想されていることです。増加自体に驚きはなかったと思います。当社が考えるところでは、米国原油生産が8月の日量平均で「1134万6千バレル」に達し、本年1月から日量平均「 +165万バレル」も拡大したことが、石油市場の強気筋に対して衝撃を与えたと思います。

本年(2018)の原油価格上昇で、米国を含む産油国が増産しており、米国がイラン原油の流通に制限を加えても供給懸念はありません。

<米EIAの推計と見通し 米国の原油生産(1日あたり バレル)

青字は米EIA見通し
       発表日
       7月31日   8月31日  9月30日   10月31日
2018年12月  1143万   1116万   1124万
   11月  1131万   1107万   1116万
   10月  1114万   1094万   1102万
    9月  1090万   1072万   1107万
    8月  1093万   1090万   1105万   1134万6千
    7月  1091万   1078万   1096万   1093万0千
    6月  1088万   1067万   1070万   1067万2千
    5月  1077万   1044万   1046万   1046万4千
    4月  1047万   1048万   1048万   1047万5千
    3月  1047万   1046万   1046万   1046万1千
    2月  1025万   1025万   1025万   1024万8千
    1月  1000万    999万    999万    999万5千
2017年12月  1002万   1004万   1004万   1004万0千
   11月  1010万   1010万   1010万   1010万3千
   10月   969万    970万    970万    970万3千

米EIAの週間速報値では、8月の米国原油生産は「日量 1100万バレル」と発表していた。

<米EIAの週間速報値の「原油生産」

週    米国原油生産 原油輸入 供給合計  原油処理量 原油輸出 需要合計

10/20-10/26 1120万0千 734万4千 1854万4千 1641万7千 248万5千 1890万2千
10/13-10/19 1090万0千 767万8千 1857万8千 1626万8千 218万0千 1844万8千
10/06-10/12 1090万0千 761万5千 1851万5千 1631万6千 178万2千 1809万8千
09/29-10/05 1120万0千 739万7千 1859万7千 1623万9千 257万6千 1881万5千
09/22-09/28 1110万0千 796万5千 1906万5千 1659万1千 172万3千 1831万4千
09/15-09/21 1110万0千 780万2千 1890万2千 1651万4千 264万0千 1915万4千
09/08-09/14 1100万0千 802万4千 1902万4千 1741万5千 236万7千 1978万2千
09/01-09/07 1090万0千 759万1千 1849万1千 1785万7千 182万8千 1968万5千
08/25-08/31 1100万0千 771万4千 1871万4千 1764万7千 150万8千 1915万5千
08/18-08/24 1100万0千 748万5千 1848万5千 1756万6千 177万9千 1934万5千
08/11-08/17 1100万0千 751万8千 1851万8千 1789万2千 115万5千 1904万7千
08/04-08/10 1090万0千 901万4千 1991万4千 1798万1千 159万2千 1957万3千
07/28-08/03 1080万0千 793万1千 1873万1千 1759万8千 185万0千 1944万8千
07/21-07/27 1090万0千 774万9千 1864万9千 1748万0千 131万0千 1879万0千
07/14-07/20 1100万0千 777万0千 1877万0千 1728万5千 268万3千 1996万8千
07/07-07/13 1100万0千 906万6千 2006万6千 1723万9千 146万1千 1870万0千
06/30-07/06 1090万0千 743万1千 1833万1千 1765万2千 202万7千 1967万9千
06/23-06/29 1090万0千 905万5千 1995万5千 1765万3千 233万6千 1998万9千

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