市況研究社日報

ガソリン安、原油安

「市況研究社日報」(石油) 2018年11月9日(金)

シンガポールはアジア最大の石油ハブです。シンガポール市況がアジア市場の指標です。

わが国石油会社の購入原油価格の基準となるプラッツ社のドバイ原油の査定時間は、シンガポール時間午後4時30分、東京時間で言えば午後5時30分です。ドバイ・マーカンタイル取引所のオマーン原油のマーカー・プライスも、シンガポール時間午後4時30分、東京時間午後5時30分です。東京商品取引所(TOCOM)のドバイ原油がアジア市場の基準になるわけではありません。

アジア市況のガソリン・クラック崩落

わが国の報道は、「高い」ときは「高い」「高い」とニュースになるが、本年のアジア市況のナフサ/ガソリン安については、ほとんど伝えられることがない。

当社「日報」は10-11月相場で、アジア市況の「ナフサ/ガソリン安」をお伝えしてきました。今週11月5日にも<シンガポール・ガソリンはここ数年間で最低のクラック・スプレッド>と記しました。

これまでの経験から言えば、「シンガポール・ガソリン」(92 RON FOB)は通常、ドバイ原油に対して「バレルあたり10ドル」のクラックはあった。昨年11相場でも、アジア・ガソリンのクラックは「バレルあたり12ドル」あったと思います。足もとのガソリン需給がインドネシアのガソリン輸入などでタイト化すれば「FOB シンガポール 92 RON ガソリン」のクラックはドバイ原油に対して「バレルあたり20ドル以上」に拡大したことがあった。

それが本年(2018)のアジア市場では、原油高の中でガソリン・クラックが低迷し、10-11月相場では見たことがないレベルに崩落している。今週の石油市場では、プラッツ社は「FOB シンガポール 92 RON ガソリン」のクラック・スプレッドが「ブレント原油(ICE)期近1月限」に対して1ドルを切った」と伝えた。「ブレント原油」(ICE)や「オマーン原油」(DME)に対して「バレルあたり1ドル以下」というガソリン・クラックは、本船渡し条件で原油を購入し、それをシンガポールの製油所で精製しても、ガソリンの精製マージンがない水準です。

欧州からアジア/太平洋地域に「ナフサ/ガソリン」がシフトしている。シンガポールの軽質油種在庫が増加し、マーカー原油に対するガソリン・クラックは「バレルあたり1ドル」以下に低下している。当社ウェブサイトでは「シンガポール・ガソリン」(92 RON FOB)と「オマーン原油」(DMEのマーカー・プライス)を掲載しています。その価格差を見れば、アジア市況のガソリン・クラックが如何に低迷しているか、その歴史的なじゃぶじゃぶ感がわかると思います。

欧州からアジア/太平洋地域へ「ナフサ/ガソリン」の移送が続いているとすれば、12月もじゃぶじゃぶを引き継ぐ可能性が高い。

原油の「8月15日」安値

ブレント原油期近は10月24日の相場で「9月6日」の値段を下に切って下落した。

当社「日報」は、これによって、ブレント原油2019年1月限は「70.93ドル」を視野に入れたとお伝えしました。

ブレント原油(ICE)は、国際原油取引の指標です。その基本になる値段を記します。
※10月限~12月限はすでに納会落ちになっています。

●基本になる値段
ブレント原油  9月6日安値     8月15日安値
10月限      --          70.30
11月限     75.64        70.67
12月限     75.32        70.85
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01月限     74.98        70.93
02月限     74.74        70.95
03月限     74.52        70.88
04月限     74.30        70.75
05月限     74.09        70.59
06月限     73.87        70.40

当社では「9月6日」安値を下に抜いたあとは、「ブレント原油2019年1月限=70.93ドルを目指す」とお伝えしました。しかし、それぞれ人によっては「期近継続足」を指標にして「70.30ドル」を目安にしている方がおられると思います。

8月15日安値は、ブレント原油の期近継続足で「70.30ドル」、2019年1月限で「70.93ドル」です。そして、現在の相場も、8月相場と同じ順ザヤです。

現在の11月相場も「7月12日~8月17日」の相場も、国際原油取引の指標=ブレント原油は<価格形成の構造と秩序が順ザヤ化>しており、「8月15日」安値についても期近継続足の「70.30ドル」を目安にする方がよいかもしれません。これまでは「ブレント原油2019年1月限=70.93ドル」をお伝えしましたが、今後は<期近継続足の70.30ドルを切るところ>を目指します。

今朝の相場で、ブレント原油2019年1月限は「70.56ドル」に下げたが、「70.30ドル」は切っていません。当社「日報」は、ブレンド原油(ICE)の価格形成の構造と秩序が順ザヤ化していることを考慮し、<70.30ドルを切るところ>に下げを追求します。

●今朝のブレント原油
2018年11月8日(木) ブレント原油先物(ICE)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比 
01月限 2019  72.10  73.08  70.56  70.65  -1.42
02月限 2019  72.27  73.09  70.81  70.90  -1.23
03月限 2019  72.30  73.17  71.02  71.11  -1.13
04月限 2019  72.42  73.26  71.22  71.31  -1.05
05月限 2019  72.54  73.34  71.41  71.49  -0.99
06月限 2019  72.61  73.38  71.54  71.61  -0.93
07月限 2019  72.61  73.35  71.57  71.65  -0.89
08月限 2019  71.48  73.26  71.55  71.63  -0.86
09月限 2019  71.36  73.19  71.49  71.57  -0.85

本日のドバイ原油

●ブレント原油の下げ
            昨日午後5時30分  本日午前11時30分
ブレント原油2019年1月限   72.67   →  70.60  -2ドル07セント安
      2019年2月限   72.72   →  70.87  -1ドル85セント安
      2019年3月限   72.83   →  71.03  -1ドル80セント安
      2019年4月限   72.94   →  71.27
      2019年5月限   73.05   →  71.49
      2019年6月限   73.10   →  71.56

●ドバイ原油の基準
プラッツ社による現物価格の査定は「マーケット・オン・クローズ」(MOC)という手法で決定される。MOCとは、査定機関が独自に定めた30分程度の時間のなかで希望販売価格と希望買取価格を集め、同時間が終了する時点に最も近いタイミングで行なわれた約定価格をその日の価格とするもの。シンガポール時間午後4時30分、東京時間午後5時30分です。

本日11月9日(金)のブレント原油2019年1月限が昨日の査定時間よりも「-2ドル07セント安」なので、ドバイ原油期近1番限のプラッツ価格は「69.35ドル」あたりが目安になる。

TOCOMの「プラッツ・ドバイ原油当限11月限」は、11月の月間平均値として「69ドル台」になる公算が大きい。

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