原油価格の分析と予想

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201752日更新

原油下げを追求する

201752日(火曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3440
6月相場は<ブレント原油20177月限>が基準限月です。当社では、当面の相場で<ブレント原油7月限>は<50.10ドル>を目指しており、下に抜けるアナを追求しています。
(@) ドバイ原油は、アジア市場のマーカー原油の一つです。41日〜428日の1カ月間のドバイ原油のスポット価格の平均値は<52.293ドル>、ドバイおよびオマーン原油の平均値は<52.546ドル>であった。わが国石油会社の<円貨/キロリットル建て原油コスト>は低下しています。為替は、<行き過ぎた円安の是正の第1段階(111109)>を達成したあと、幕間のインターバルをはさんで第2段階を目指します。
(A) 国際原油取引の指標は<ブレント原油>(ICE)です。
201751日(月)のブレント原油(ICE)
限月          始値  高値  安値  帳入値
ブレント原油 07月限  51.88 51.97 51.22 51.52  
-0.53
ブレント原油 08月限  52.18 52.29 51.56 51.86  
-0.51
ブレント原油 09月限  52.43 52.52 51.80 52.09  
-0.51
ブレント原油 10月限  52.58 52.70 52.02 52.28  
-0.50
ブレント原油 11月限  52.79 52.86 52.16 52.43  
-0.47
ブレント原油 12月限  52.86 52.94 52.24 52.53  
-0.47
ブレント原油 01月限  52.89 52.93 52.31 52.60  
-0.45
(B) 5月相場は<ブレント原油20177月限>が基準限月です。昨年(20161114日から今朝までの<ブレント原油7月限>の相場表を記します。
<ブレント原油7月限(20161114日〜201751日)
日付       始値  高値  安値  帳入値
05月02日(火)
05月01日(月)  51.88 51.97 51.22 51.52  -0.53
04月28日(金)  51.95 52.60 51.62 52.05  +0.23
04月27日(木)  52.11 52.28 51.01 51.82  -0.51
04月26日(水)  52.32 52.95 51.85 52.41  -0.16
04月25日(火)  52.18 52.84 51.80 52.57  +0.44
04月24日(月)  52.53 53.06 51.95 52.13  -0.31
04月21日(金)  53.45 53.77 52.08 52.44  -1.02
04月20日(木)  53.61 54.03 53.18 53.46  +0.03
04月19日(水)  55.32 55.69 53.09 53.43  -2.01
04月18日(火)  55.92 56.00 55.16 55.44  -0.44
04月17日(月)  56.16 56.44 55.78 55.88  -0.49
04月14日(金)  
Good Friday
04月13日(木)  56.08 56.52 56.05 56.37  +0.07
04月12日(水)  56.61 56.99 55.95 56.30  -0.30
04月11日(火)  56.40 56.65 55.83 56.60  +0.28
04月10日(月)  55.55 56.40 55.48 56.32  +0.79

●ブレントと「WTI」の価格差縮小
当社では、できるかぎりシンプルな原理で<売り>の目標を追求したいと考えています。必要がないなら多くのものを定立してはならない。現象を説明する方法が何通りかあるとき、よりシンプルな説明の方が正しい可能性が高い。原油相場の地合いについて、「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差を手掛かりにして、次のような目安をお伝えしました。
(@)「ブレント原油」が「ニューヨーク原油」(WTI)に対する上ザヤを買い上げて、その価格差が拡大しているときは、原油相場の地合いは堅い。
(A) 反対に、「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(WTI)の期近の価格差が縮小しているときは、相場の地合いは弱い。
<ブレントと「WTI」の価格差縮小
「ブレント原油7月限」と「ニューヨーク原油(WTI6月限」の価格差を表示します。
日付    ブレント7限  WTI 6限  価格差
5月02日(火)
5月01日(月)  51.52  48.84   2.68
4月28日(金)  52.05  49.33   2.72
4月27日(木)  51.82  48.97   2.85
4月26日(水)  52.41  49.62   2.79
4月25日(火)  52.57  49.56   3.01
4月24日(月)  52.13  49.23   2.90
4月21日(金)  52.44  49.62   2.82
4月20日(木)  53.46  50.71   2.75
4月19日(水)  53.43  50.85   2.58
4月18日(火)  55.44  52.85   2.59
4月17日(月)  55.88  53.11   2.77
4月14日(金)  Good Friday
4月13日(木)  56.37  53.60   2.77
4月12日(水)  56.30  53.52   2.78
4月11日(火)  56.60  53.79   2.81
4月10日(月)  56.32  53.48   2.84
4月07日(金)  55.53  52.64   2.89
4月06日(木)  55.17  52.13   
3.04
4月05日(水)  54.63  51.60   
3.03 ※ピーク
4月04日(火)  54.44  51.51   2.93
4月03日(月)  53.41  50.71   2.70
3月31日(金)  53.79  51.07   2.72
3月30日(木)  53.39  50.78   2.61
3月29日(水)  52.78  50.00   2.78
3月28日(火)  51.66  48.90   2.76
3月27日(月)  51.17  48.30   2.87


「ブレント」と「WTI」の価格差縮小=相場下げ

2017420日(木曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3432
当社「日報」で、「地合いと価格差」をお伝えしたのが45日(水)でした。
(@)「ブレント原油」が「ニューヨーク原油」(WTI)に対する上ザヤを買い上げて、その価格差が拡大しているときは、原油相場の地合いは堅い。
(A)反対に、「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(
WTI)の期近の価格差が縮小しているときは、相場の地合いは弱い。
(B)こうした目安は経験的な仮説です。数論の証明とは異なるので、実際の運用は個々人の力です。

「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(WTI)の期近の価格差は、原油相場の地合いを表すことが多い。「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差が急拡大しているときは、米欧ファンドが一生懸命に原油を買っている。そして、その価格差が縮小に転じたときは、ファンドの思惑が頓挫(とんざ)している。今回の4月相場でも、それを確認することができたと思います。
●本日のドバイ原油の試算値
2017420日(木)
限月              円貨換算(108.80円)
東京ドバイ原油 4月限  $51.35  35,140円/KL
東京ドバイ原油 5月限  $51.72  35,390円/KL  
-1,170円安
東京ドバイ原油 6月限  $51.98  35,570円/KL  
-1,170円安
東京ドバイ原油 7月限  $52.20  35,720円/KL  
-1,090円安
東京ドバイ原油 8月限  $52.35  35,820円/KL  
-1,040円安
東京ドバイ原油 9月限  $52.45  35,890円/KL   
-950円安
●ブレントと「WTI」の価格差縮小
<ブレント原油6月限と「ニューヨーク」(WTI5月限の価格差
日付    ブレント6限  WTI 5限  価格差
4月19日(水)  52.93  50.44   2.49
4月18日(火)  54.89  52.41   2.48
4月17日(月)  55.36  52.65   2.71
4月14日(金)  Good Friday
4月13日(木)  55.89  53.18   2.71
4月12日(水)  55.86  53.11   2.75
4月11日(火)  56.23  53.40   2.83
4月10日(月)  55.98  53.08   2.90
4月07日(金)  55.24  52.24   3.00
4月06日(木)  54.89  51.70   3.19
4月05日(水)  54.36  51.15   3.21 ※ピーク
4月04日(火)  54.17  51.03   3.14
4月03日(月)  53.12  50.24   2.88

<ブレント原油6月限」と「ニューヨーク」(WTI6月限」の価格差
同一限月の価格差を記します。
日付    ブレント6限  WTI 6限  価格差
4月19日(水)  52.93  50.85   2.08
4月18日(火)  54.89  52.85   2.04
4月17日(月)  55.36  53.11   2.25
4月14日(金)  Good Friday
4月13日(木)  55.89  53.60   2.29
4月12日(水)  55.86  53.52   2.34
4月11日(火)  56.23  53.79   2.44
4月10日(月)  55.98  53.48   2.50
4月07日(金)  55.24  52.64   2.60
4月06日(木)  54.89  52.13   2.76
4月05日(水)  54.36  51.60   2.76 ※ピーク
4月04日(火)  54.17  51.51   2.66
4月03日(月)  53.12  50.71   2.41

●米国の原油増産
米国の原油生産は本年(201748日〜414日に「日量平均9252千バレル」となった。昨年101日〜7日は「日量平均8450千バレル」だったので、米国原油生産はここ6カ月で「+802千バレル」増加した。カナダやブラジルでも、原油生産が増加している。
[1] 米欧金融市場の投資資金は昨年(20169月に世界経済の<低成長と低インフレ>を否定し、その思惑を「米国の経済成長とインフレ加速」に乗り換えた。ファンドは「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観から(@)サウジアラビアやロシアの「減産計画」に追随し、(A)トランプ米大統領の「インフラ投資や減税計画」に追従した。当社では、中国など新興国市場を含めて世界経済の潜在成長率が低下し、低成長が続くなかでは、需要の伸びは想定内にとどまり、インフレも抑制されると考えています。世界市場の潜在成長率が低下しているとき、「経済成長とインフレ加速」の思惑には無理があります。
[2] 原油市場のファンドの買いは、ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差にその勢いが表れる。ファンドの買いが頓挫(とんざ)するときは、その価格差にあらわれると考えています。米エネルギー省/EIAの「石油統計」を下に記します。考え方が偏らないようにするために、できるかぎり包括的にデータを網羅(もうら)してお伝えします。
1)米国原油生産=日量9252千バレルに増加
米国石油統計は、全体のバランスシートを把握することが大切です。下記の表で「供給合計」が「需要合計」を上回っておれば「米国原油在庫」は増加し、「需要合計」が「供給」を上回るときは「在庫」が減少します。週ごとにそういう増減があったとしても、下記の表を貫いているのは<米国の原油増産>です。ここ6カ月で「日量平均+802千バレル」増加しています。
<米国原油増産と需給
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
      ┏━━━━━━━━━━━━┓  ┏━━━━━━━━━━━┓
週   
米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
04/08-04/14 
925万2千 781万0千 1706万2千 1693万8千 56万5千 1750万3千
04/01-04/07 
923万5千 787万8千 1711万3千 1669万7千 68万9千 1738万6千
03/25-03/31 
919万9千 785万0千 1704万9千 1642万9千 57万5千 1700万4千
03/18-03/24 
914万7千 822万4千 1737万1千 1622万6千 101万0千 1623万6千
03/11-03/17 
912万9千 830万7千 1743万6千 1580万1千 55万0千 1635万1千
03/04-03/10 
910万9千 704万5千 1615万4千 1547万2千 71万7千 1618万9千
02/25-03/03 
908万8千 815万0千 1723万8千 1549万2千 89万7千 1638万9千
02/18-02/24 
903万2千 758万9千 1662万1千 1566万4千 72万1千 1638万5千
02/11-02/17 
900万1千 728万6千 1628万7千 1527万1千 121万1千 1648万2千
02/04-02/10 
897万7千 849万1千 1746万8千 1545万8千 102万6千 1648万4千
01/28-02/03 
897万8千 937万2千 1835万0千 1589万3千 56万7千 1646万0千
01/21-01/27 
891万5千 829万0千 1720万5千 1594万7千 54万9千 1649万6千
01/14-01/20 
896万1千 781万0千 1677万1千 1604万7千 59万9千 1664万6千
01/07-01/13 
894万4千 837万8千 1732万2千 1646万8千 70万4千 1717万2千
12/31-01/06 
894万6千 905万2千 1799万8千 1710万7千 72万7千 1783万4千
12/24-12/30 
877万0千 718万3千 1595万3千 1668万9千 68万6千 1737万5千
12/17-12/23 
876万6千 816万7千 1693万3千 1655万7千 62万7千 1718万4千
12/10-12/16 
878万6千 847万1千 1725万7千 1665万8千 55万7千 1721万5千
12/03-12/09 
879万6千 736万0千 1615万6千 1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 
869万7千 830万3千 1700万0千 1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 
869万9千 754万8千 1624万7千 1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 
869万0千 757万8千 1626万8千 1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 
868万1千 842万3千 1710万4千 1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 
869万2千 744万2千 1613万4千 1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 
852万2千 899万5千 1751万7千 1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 
850万4千 701万6千 1552万0千 1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 
846万4千 690万7千 1537万1千 1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 
845万0千 786万1千 1631万1千 1555万2千 48万1千 1603万3千
2)米国のガソリン需要=前年対比で減少
欧米金融市場の投資資金は、「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観から、その先入観に合致するところだけを一面的に解釈し、「買い材料」にしているが、米国内のガソリン需要は前年同期を下回っています。米国製油所のガソリン出荷量は昨年11月以降、前年対比で減少しており、米国内のガソリン需要が伸びていないことをあらわしています。市場の雰囲気とか気分は「好調」を喧伝していても、実際は、想定を下回っています。米国は昨秋以降、メキシコ向けガソリン輸出を増加させたが、米国内のガソリン需要は伸びていない。下に国内出荷量と輸出量を記します。
<米国ガソリン出荷量(米国製油所の1日あたりのガソリン出荷量)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間   1日あたりガソリン出荷量  前年同期のガソリン出荷量
04/08-04/14  922万3千バレル   04/15  944万4千バレル
04/01-04/07  927万5千バレル   04/08  963万3千バレル
03/25-03/31  924万5千バレル   04/01  922万4千バレル
03/18-03/24  952万4千バレル   03/25  922万4千バレル
03/11-03/17  920万0千バレル   03/18  950万3千バレル
03/04-03/10  925万4千バレル   03/11  945万8千バレル
02/25-03/03  926万8千バレル   03/04  941万1千バレル
02/18-02/24  868万6千バレル   02/26  912万1千バレル
02/11-02/17  866万3千バレル   02/19  957万6千バレル
02/04-02/10  843万3千バレル   02/12  920万3千バレル
01/28-02/03  894万1千バレル   02/05  912万2千バレル
01/21-01/27  831万0千バレル   01/29  834万1千バレル
01/14-01/20  803万9千バレル   01/22  894万1千バレル
01/07-01/13  806万9千バレル   01/15  907万9千バレル
12/31-01/06  847万0千バレル   01/08  850万0千バレル
12/24-12/30  846万5千バレル   01/01  815万9千バレル
12/17-12/23  927万8千バレル   12/25  939万5千バレル
12/10-12/16  926万9千バレル   12/18  918万5千バレル
12/03-12/09  887万4千バレル   12/11  922万0千バレル
11/26-12/02  875万7千バレル   12/04  942万0千バレル

<米国ガソリン輸出量(米国の1日あたりのガソリン輸出量)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間   1日あたりガソリン輸出量  前年同期のガソリン輸出量
4/08-4/14   64万8千バレル    4/15   38万9千バレル
4/01-4/07   71万0千バレル    4/08   38万9千バレル
3/25-3/31   58万9千バレル    4/01   38万9千バレル
3/18-3/24   60万8千バレル    3/25   39万8千バレル
3/11-3/17   59万2千バレル    3/18   39万8千バレル
3/04-3/10   53万5千バレル    3/11   39万8千バレル
2/15-3/03   74万1千バレル    3/04   39万8千バレル
2/18-2/24   89万1千バレル    2/26   39万8千バレル
2/11-2/17   84万8千バレル    2/19   46万0千バレル
2/04-2/10   55万5千バレル    2/12   46万0千バレル
1/28-2/03   90万2千バレル    2/05   46万0千バレル
1/21-1/27   90万2千バレル    1/29   46万0千バレル
1/14-1/20   87万4千バレル    1/22   46万0千バレル

現在の米国ガソリン在庫は潤沢です。
<米国のガソリン在庫
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: バレル
2017年        2016年        2015年
4/14 2億3767万2千  4/15 2億3965万1千  4/17 2億2573万8千
4/07 2億3613万0千  4/08 2億3976万1千  4/10 2億2787万3千
3/31 2億3910万3千  4/01 2億4399万8千  4/03 2億2994万5千
3/24 2億3972万1千  3/25 2億4256万0千  3/27 2億2912万8千
3/17 2億4346万8千  3/18 2億4507万4千  3/20 2億3338万6千
3/10 2億4627万9千  3/11 2億4971万6千  3/13 2億3540万0千
3/03 2億4933万4千  3/04 2億5046万3千  3/06 2億3987万3千
2/24 2億5588万9千  2/26 2億5498万9千  3/27 2億4006万0千
2/17 2億5643万5千  2/19 2億5645万7千  3/20 2億4001万4千
2/10 2億5906万3千  2/12 2億5869万3千  3/13 2億4313万2千
2/03 2億5621万7千  2/05 2億5565万7千  3/06 2億4264万7千
1/27 2億5708万6千  1/29 2億5439万9千  1/30 2億4067万0千
1/20 2億5322万0千  1/22 2億4846万1千  1/23 2億3833万5千
1/13 2億4642万4千  1/15 2億4499万7千  1/16 2億4092万2千
1/06 2億4047万3千  1/08 2億4043万4千  1/09 2億4033万4千

●米国のエタノール生産(週間速報値)
米国のガソリン需要が増加していないにもかかわらず、昨年11月〜本年3月の米国エタノール生産は多かった。それは「米国エタノールの輸出」を反映していた。そうした「米国のエタノール輸出」は、今後も持続するだろうか?
<米国エタノール生産(週間速報値)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
週間 1日あたりのエタノール生産(前週比)エタノール在庫
4/14   99万3千バレル(+0.7万)   2,303万4千バレル
4/07   98万6千バレル(▲3.3万)   2,290万3千バレル
3/31  101万9千バレル(▲3.5万)   2,370万5千バレル
3/24  105万4千バレル(+1.0万)   2,325万7千バレル
3/17  104万4千バレル(▲0.1万)   2,259万5千バレル
3/10  104万5千バレル(+2.3万)   2,276万6千バレル
3/03  102万2千バレル(▲1.2万)   2,285万6千バレル
2/24  103万4千バレル( unch )   2,309万1千バレル
2/17  103万4千バレル(▲0.6万)   2,266万9千バレル
2/10  104万0千バレル(▲1.5万)   2,250万0千バレル
2/03  105万5千バレル(▲0.6万)   2,208万5千バレル
1/27  106万1千バレル(+1.0万)   2,187万0千バレル
1/20  105万1千バレル(▲0.3万)   2,172万8千バレル
1/13  105万4千バレル(+0.5万)   2,111万5千バレル
1/06  104万9千バレル(+0.6万)   2,000万9千バレル


原油価格の予想について

2017413日(木曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3427
●為替(ドル円)

外為市場のドル円は第1段階の目標<111109円>となり、第2段階に向けた当社の立場と意見は昨日12日の「日報」で記しました。本日13日(木)は米国債利回りが低下しているので<1ドル=109.40109.05108.70円>あたりで揉み合うと思います。
●原油相場について
一つの仮説として、原油相場のファンドの買いは「ブレント」と「ニューヨーク」(WTI)の価格差にその勢いが表れる。「ブレント原油期近」が「ニューヨーク」(WTI)に対する上ザヤをひろげているときは、強張った戻りになることがある。反対に、「ブレント原油」と「ニューヨーク」(WTI)の価格差が縮小するときは、相場の地合いは弱化している。この点を、410日の「日報」では次のようにまとめました。<当社では、「米雇用統計」発表後に(@)米国債利回りは一段と低下し、(A)「ブレント原油」と「WTI」の価格差は縮小して下げると予想していましたが、現実は米国債利回りは低下のあと上昇に転じて引けた。米欧金融市場のファンドが「米雇用統計」発表後も「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観に固執していることを表わしており、したがって、原油に対する思惑もまだ底流している。「ブレント」と「ニューヨーク」(WTI)の価格差は縮小しているものの「火種」がまだ残っているので、その推移を確認しながら相場に臨みます。>
<ブレント原油6月限と「ニューヨーク(WTI5月限」の価格差
今週の価格差は以下のように推移しています。
日付    ブレント
6  WTI5限  価格差
4月13日(木)  55.70  52.93   2.77
4月12日(水)  55.86  53.11   2.75
4月11日(火)  56.23  53.40   2.83
4月10日(月)  55.98  53.08   2.90
4月07日(金)  55.24  52.24   3.00
4月06日(木)  54.89  51.70   3.19
4月05日(水)  54.36  51.15   3.21
※ピーク
4月04日(火)  54.17  51.03   3.14
4月03日(月)  53.12  50.24   2.88
3月31日(金)  53.53  50.60   2.93
3月30日(木)  53.13  50.35   2.78
3月29日(水)  52.54  49.51   3.03
3月28日(火)  51.42  48.37   3.05
3月27日(月)  50.90  47.73   3.17
3月24日(金)  50.92  47.97   2.95
3月23日(木)  50.66  47.70   2.96
3月22日(水)  50.87  48.04   2.83
3月21日(火)  51.19  48.24   2.95
3月20日(月)  51.79  48.91   2.88
3月17日(金)  51.95  49.31   2.64
<ブレント原油6月限と「ニューヨーク(WTI6月限」の価格差
同一限月の価格差は以下のように推移している。
●米国の原油増産
[1] 米国の原油生産は先週41日〜47日に「日量平均9235千バレル」となった。昨年101日〜107日は「日量平均8450千バレル」だったので、米国原油生産はここ6カ月で「+785千バレル」増加した。カナダやブラジルでも原油生産が増加している。
[2] 米欧金融市場の投資資金は昨年9月、世界経済の<低成長と低インフレ>を否定し、その思惑の方向を「米国の経済成長とインフレ加速」に乗り移った。ファンドは「米国の経済成長とインフレ加速」の先入観から(@)サウジアラビアやロシアの「減産計画」に追随し、(A)トランプ米大統領の「インフラ投資や減税計画」に追従した。しかし、当社では、中国など新興国市場を含めて世界経済の潜在成長率が低下し、低成長が続くなかでは、需要の伸びは想定内にとどまり、インフレも抑制されると考えています。世界市場の潜在成長率が低下しているとき、「経済成長とインフレ加速」の思惑には無理があります。
[3] 当社「日報」は、金利、外為、原油、穀物などで、ファンドの思惑と闘っています。それは争いを好むからではなく、ファンドの一面的な先入観に同調できないからです。それが明らかになるまでには、それ相応の時間を必要とします。原油市場のファンドの買いは、「ブレント原油」と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差にその勢いが表れる。ファンドの思惑が頓挫(とんざ)するとき、価格差の動きにあらわれると考えています。昨夜は米エネルギー省/EIAが「米国石油統計」を発表したので、そのデータを下に記します。考え方が偏らないようにするために、できるかぎり包括的にデータを網羅(もうら)してお伝えします。
●米国原油生産は日量9235千バレルに増加
米国石油統計は、全体のバランスシートを把握することが大切です。下記の表で「供給合計」が「需要合計」を上回っておれば「米国原油在庫」は増加し、「需要合計」が「供給」を上回るときは「在庫」が減少します。そうした増減があったとしても、現在の主導要素は米国原油増産です。
<米国原油増産と需給
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
      ┏━━━━━━━━━━━━┓  ┏━━━━━━━━━━━┓
週   
米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
04/01-04/07 
923万5千 787万8千 1711万3千 1669万7千 68万9千 1738万6千
03/25-03/31 
919万9千 785万0千 1704万9千 1642万9千 57万5千 1700万4千
03/18-03/24 
914万7千 822万4千 1737万1千 1622万6千 101万0千 1623万6千
03/11-03/17 
912万9千 830万7千 1743万6千 1580万1千 55万0千 1635万1千
03/04-03/10 
910万9千 704万5千 1615万4千 1547万2千 71万7千 1618万9千
02/25-03/03 
908万8千 815万0千 1723万8千 1549万2千 89万7千 1638万9千
02/18-02/24 
903万2千 758万9千 1662万1千 1566万4千 72万1千 1638万5千
02/11-02/17 
900万1千 728万6千 1628万7千 1527万1千 121万1千 1648万2千
02/04-02/10 
897万7千 849万1千 1746万8千 1545万8千 102万6千 1648万4千
01/28-02/03 
897万8千 937万2千 1835万0千 1589万3千 56万7千 1646万0千
01/21-01/27 
891万5千 829万0千 1720万5千 1594万7千 54万9千 1649万6千
01/14-01/20 
896万1千 781万0千 1677万1千 1604万7千 59万9千 1664万6千
01/07-01/13 
894万4千 837万8千 1732万2千 1646万8千 70万4千 1717万2千
12/31-01/06 
894万6千 905万2千 1799万8千 1710万7千 72万7千 1783万4千
12/24-12/30 
877万0千 718万3千 1595万3千 1668万9千 68万6千 1737万5千
12/17-12/23 
876万6千 816万7千 1693万3千 1655万7千 62万7千 1718万4千
12/10-12/16 
878万6千 847万1千 1725万7千 1665万8千 55万7千 1721万5千
12/03-12/09 
879万6千 736万0千 1615万6千 1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 
869万7千 830万3千 1700万0千 1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 
869万9千 754万8千 1624万7千 1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 
869万0千 757万8千 1626万8千 1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 
868万1千 842万3千 1710万4千 1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 
869万2千 744万2千 1613万4千 1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 
852万2千 899万5千 1751万7千 1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 
850万4千 701万6千 1552万0千 1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 
846万4千 690万7千 1537万1千 1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 
845万0千 786万1千 1631万1千 1555万2千 48万1千 1603万3千
●米国ガソリン需要は前年対比で減少
欧米金融市場の投資資金は、「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観から、その先入観に合致するところだけを一面的に解釈し、「買い材料」にしている。昨年の米大統領選でトランプ氏が勝利したあと、金融市場の投資資金は「トランプ・ラリー」に追従した。しかし、現実はそれほど単純なものではありません。米国製油所のガソリン出荷量は昨年11月以降、前年対比で減少しており、米国内のガソリン需要は伸びていない。米国は昨秋以降メキシコ向けガソリン輸出を増加させたが、米国内のガソリン需要は想定を下回っています。下に米国ガソリンの「国内出荷量」と「輸出量」を記します。
<米国ガソリン出荷量(米国製油所の1日あたり国内出荷量)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間  1日あたりガソリン出荷量  前年同期のガソリン出荷量
04/08-04/14             04/15  944万4千バレル
04/01-04/07  927万5千バレル   04/08  963万3千バレル
03/25-03/31  924万5千バレル   04/01  922万4千バレル
03/18-03/24  952万4千バレル   03/25  922万4千バレル
03/11-03/17  920万0千バレル   03/18  950万3千バレル
03/04-03/10  925万4千バレル   03/11  945万8千バレル
02/25-03/03  926万8千バレル   03/04  941万1千バレル
02/18-02/24  868万6千バレル   02/26  912万1千バレル
02/11-02/17  866万3千バレル   02/19  957万6千バレル
02/04-02/10  843万3千バレル   02/12  920万3千バレル
01/28-02/03  894万1千バレル   02/05  912万2千バレル
01/21-01/27  831万0千バレル   01/29  834万1千バレル
01/14-01/20  803万9千バレル   01/22  894万1千バレル
01/07-01/13  806万9千バレル   01/15  907万9千バレル
12/31-01/06  847万0千バレル   01/08  850万0千バレル
12/24-12/30  846万5千バレル   01/01  815万9千バレル
12/17-12/23  927万8千バレル   12/25  939万5千バレル
12/10-12/16  926万9千バレル   12/18  918万5千バレル
12/03-12/09  887万4千バレル   12/11  922万0千バレル
11/26-12/02  875万7千バレル   12/04  942万0千バレル

<米国ガソリン輸出量(米国の1日あたりガソリン輸出量)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間  1日あたりガソリン輸出量  前年同期のガソリン輸出量
4/01-4/07   71万0千バレル    4/08   38万9千バレル
3/25-3/31   58万9千バレル    4/01   38万9千バレル
3/18-3/24   60万8千バレル    3/25   39万8千バレル
3/11-3/17   59万2千バレル    3/18   39万8千バレル
3/04-3/10   53万5千バレル    3/11   39万8千バレル
2/15-3/03   74万1千バレル    3/04   39万8千バレル
2/18-2/24   89万1千バレル    2/26   39万8千バレル
2/11-2/17   84万8千バレル    2/19   46万0千バレル
2/04-2/10   55万5千バレル    2/12   46万0千バレル
1/28-2/03   90万2千バレル    2/05   46万0千バレル
1/21-1/27   90万2千バレル    1/29   46万0千バレル
1/14-1/20   87万4千バレル    1/22   46万0千バレル

ガソリン在庫は季節的な趨勢があります。また、輸入が減少し輸出が増加したときも、ガソリン在庫は減少します。そういう増減があっても、現在の米国ガソリン在庫に不足はありません。米国ガソリン供給が「低水準」というわけではない。
<米国のガソリン在庫
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: バレル
2017年のガソリン在庫 2016年の在庫     2015年の在庫
4/07 2億3613万0千  4/08 2億3976万1千  4/10 2億2787万3千
3/31 2億3910万3千  4/01 2億4399万8千  4/03 2億2994万5千
3/24 2億3972万1千  3/25 2億4256万0千  3/27 2億2912万8千
3/17 2億4346万8千  3/18 2億4507万4千  3/20 2億3338万6千
3/10 2億4627万9千  3/11 2億4971万6千  3/13 2億3540万0千
3/03 2億4933万4千  3/04 2億5046万3千  3/06 2億3987万3千
2/24 2億5588万9千  2/26 2億5498万9千  3/27 2億4006万0千
2/17 2億5643万5千  2/19 2億5645万7千  3/20 2億4001万4千
2/10 2億5906万3千  2/12 2億5869万3千  3/13 2億4313万2千
2/03 2億5621万7千  2/05 2億5565万7千  3/06 2億4264万7千
1/27 2億5708万6千  1/29 2億5439万9千  1/30 2億4067万0千
1/20 2億5322万0千  1/22 2億4846万1千  1/23 2億3833万5千
1/13 2億4642万4千  1/15 2億4499万7千  1/16 2億4092万2千
1/06 2億4047万3千  1/08 2億4043万4千  1/09 2億4033万4千


原油価格の予想について

201747日(金曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3423
●価格差と地合い
[1] 今週45日(水)の「日報」(石油-2)で次のようにお伝えしました。<国際原油取引の指標であるブレント原油期近が「ニューヨーク原油」(WTI)」に対する上ザヤをひろげて戻しているときは強張った戻りになることがあります。ブレント原油が「WTI」に対する上ザヤを買い上げてきたときはファンドの買いによって地合いが堅い。ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差は原油相場の地合いを表すことが多い。>
[2] そして、昨日46日(木)の「日報」(石油-2)冒頭では次のように記しました。<ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)の期近の価格差を見ると米欧金融市場の投資資金の買いは今朝も居坐っている。ファンドの買いが撤退するとき価格差は縮小すると考えています。>
[米国石油統計] ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)の期近の価格差について、もう少し説明します。ブレント原油」と「WTI」期近の価格差が<おかしいな>と気付いたのは、44日(火)の欧米市場の取引時間でした。ブレント原油が「WTI」に対する上ザヤを急にひろげてきたからです。44日(火)からの原油相場の戻りについて、ロイターやブルームバーグなどのメディアは「米国原油在庫の減少予想」で説明していた。しかしながら、米欧金融市場のファンドが「米国原油在庫の減少予想」で買っていたのあれば、「米国石油統計」発表後にファンドの買いは減少していなければならなかった。現実は「米国石油統計」発表後もブレントと「WTI」の価格差は拡大し、ファンドの買いが居坐っていた。ファンドの買いは「米国石油統計」に連動したものではない。
[リビア情勢] 石油市場のファンドの買いは「リビア情勢」とも直接の関係がない。リビアの「ワファーワ油田」は326日(日)に操業が止められ、さらに「アッ・シャララ油田」も327日(月)に武装グループによって止められた。そのため「リビア国営石油」(NOC)は一時、不可抗力条項を発動したが、今週は不可抗力条項を解除しています。
[シリア情勢] 本日47日(金)前場の東京市場では、「米軍がシリアのアサド政権の軍事施設に対する攻撃を行ったこと」で「中東からの原油供給に影響が出るとの懸念から相場が上昇した」と説明する向きがあった。しかし、米駆逐艦からシリアの空軍基地に向けて「トマホーク」巡航ミサイルで攻撃したことが原油相場に直接関係するとは思いません。実際、ブレント原油と「WTI」の価格差は昨夜が一つのピークであって、その後、本日7日(金)は拡大していない。原油相場を説明するために「値動き」と「時事ニュース」を直結させ、それを「理由付け」にするのは根本的に間違っている。時事ニュースの中から「適当なもの」を拾い出し、「値動き」を後付けの「材料」で説明しても意味はないと思います。
[ファンドの思惑] 欧米金融市場のファンドが44日(火)から<買い策動>を再開したのは「米国石油統計」や「シリア情勢」にもとづくものではない。むしろ、それは本日7日(金)夜に予定している「米国雇用統計」に連動している可能性が高い。原油相場のファンドの買いはグローバル・マクロ風の思惑が原動力と推測しています。昨年(20169月から7カ月余、ファンドは「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観から商品市場で買いを積み上げてきた。原油先物のファンドの買いは、かつてない規模となった。
[ファンドの先入観] 当社「日報」では昨年11月に米大統領選でトランプ氏が勝利したとき、19501954年の「マッカーシー」を連想し、(@)多重虚偽、(A)危険な幻想の商売、(B)現実からの逃走という3つの要素で特徴付けました。ところが、金融市場の投資資金は「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観から(@)サウジアラビアやロシアの「減産」計画に追随し、(A)トランプ氏のインフラ投資や減税のプランに追従した。ファンドは「米国の経済成長とインフレ加速」という先入観に合致するよう解釈している。当社では、ファンドが原油を買っているとき、ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)との価格差はひらくと見ています。44日(火)の欧米市場から、その価格差が急拡大したので、ファンドが原油を一生懸命に買っている可能性が高いとお伝えしたわけです。経験的に、ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)期近の価格差が拡大し、ブレント原油」が「WTI」に対する上ザヤを買い上げているときは地合いが強い。その価格差が縮小するときは地合いが弱い。
[当社の立場と意見] 当社では、中国など新興国市場を含めて世界経済の潜在成長率が低下し、低成長が続くなかでは、インフレも抑制されると考えています。世界市場の潜在成長率が低下しているとき、「経済成長とインフレ加速」の思惑には無理があります。当社「日報」は、金利、外為、原油、穀物などで、ファンドの思惑と闘っていますが、それは争いを好むからではなく、ファンドの一面的な先入観に同調できないからです。それが明らかになるまでには、それ相応の時間を必要とします。原油市場のファンドの買いは、ブレント原油と「ニューヨーク原油」(WTI)の価格差にその勢いが表れる。昨夜午後0時過ぎが一つのピークであった。価格差が縮小に転じたとき、ファンドの思惑も落ち着くと思います。
●ブレント原油の指標限月6月限と「ニューヨーク(WTI)の中心限月5月限」の価格差
このかんの動きを記します。
日付   ブレント 6限 WTI 5限  価格差

4月06日(木)  54.89  51.70   
3.19
4月05日(水)  54.36  51.15   
3.21
4月04日(火)  54.17  51.03   
3.14
4月03日(月)  53.12  50.24   
2.88
3月31日(金)  53.53  50.60   
2.93
3月30日(木)  53.13  50.35   
2.78
3月29日(水)  52.54  49.51   
3.03
3月28日(火)  51.42  48.37   
3.05
3月27日(月)  50.90  47.73   
3.17
3月24日(金)  50.92  47.97   
2.95
3月23日(木)  50.66  47.70   
2.96
3月22日(水)  50.87  48.04   
2.83
3月21日(火)  51.19  48.24   
2.95
3月20日(月)  51.79  48.91   
2.88
3月17日(金)  51.95  49.31   
2.64
●ブレント原油6月限と「ニューヨーク原油(WTI6月限」の価格差
●わが国石油会社の購入原油価格の基準とCIF参考値


原油取引の指標

2017324日(金曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3413
原油相場は2017-2018年の下げを展望しながら、目先は<ブレント原油期近5月限で「49.30ドル」あたりを探りにいけるかどうか>を検証しています。昨日23日(木)のアジア終値は「ブレント原油 5月限=50.84」「同 6月限=51.07」「同 7月限=51.32」であった。今朝のブレント原油は、昨日のアジア終値と比較して「-20セント」前後安い。物事にはそれぞれ必要とする時間があるので、その時間の進捗に合わせて行きたいと思います。
2017323日(木)のブレント原油(ICE
限月          始値  高値  安値  帳入値
ブレント原油 05月限  50.83 51.10 50.25 50.56  -0.08
ブレント原油 06月限  51.02 51.29 50.46 50.66  -0.21
ブレント原油 07月限  51.32 51.53 50.69 50.86  -0.26
ブレント原油 08月限  51.54 51.73 50.90 51.06  -0.27
ブレント原油 09月限  51.70 51.91 51.08 51.21  -0.29
ブレント原油 10月限  51.97 52.00 51.19 51.32  -0.30
ブレント原油 11月限  51.89 52.08 51.29 51.39  -0.31
ブレント原油 12月限  51.86 52.14 51.38 51.44  -0.32

●ブレント原油のアジア終値(0830 GMT
わが国石油会社の購入原油価格は「08:30 GMT」(東京時間 17:30)が基準です。当社では<戻りは小さい>とお伝えしています。
日付    ブレント5月限 ブレント6月限 ブレント7月限
3月24日(金)   50.60   50.70   50.90 ※
3月23日(木)   50.84   51.07   51.32
3月22日(水)   50.73   50.98   51.24
3月21日(火)   52.06   52.21   52.40
3月20日(月)   51.60   51.78   51.98
3月17日(金)   51.77   51.94   52.10
3月16日(木)   52.46   52.60   52.77
3月15日(水)   51.68   51.85   52.08
3月14日(火)   51.42   51.68   51.87
3月13日(月)   51.30   51.57   51.77
3月10日(金)   52.37   52.63   52.84
3月09日(木)   53.78   54.04   54.23
3月08日(水)   55.66   55.87   56.02

●為替(ドル円)
当社では、米国債利回りを指標に<行き過ぎた円安の是正>を追求しています。本年(2017)の場合、<111109円>が第1段階の目標です。本日24日(金)の為替は「1ドル=111.45111.15110.85円」あたりで揉み合う可能性が高い。
<米国債の利回りと「ドル円」
米国債の利回り(%)     為替(ドル円)
米国日付  10年債  2年債   日本日付 東京仲値
3/23    2.41  1.26   3/24
3/22    2.40  1.27   3/23   111.48円
3/21    2.43  1.27   3/22   111.72円
3/20    2.47  1.30   3/21   112.40円
3/17    2.50  1.33   3/20   休み
3/16    2.53  1.35   3/17   113.48円
3/15
米FOMC 2.51  1.33   3/16   113.28円
3/14
米FOMC 2.60  1.40   3/15   114.83円
3/13    2.62  1.40   3/14   114.86円
3/10    2.58  1.36   3/13   114.82円
3/09    2.60  1.37   3/10   115.22円
3/08    2.57  1.36   3/09   114.60円

●本日のドバイ原油
2017324日(金)のドバイ原油試算値
限月              円貨換算(111.35円)
東京ドバイ原油 2月限  $49.15  34,420円/KL
東京ドバイ原油 3月限  $49.16  34,430円/KL  
-430円安
東京ドバイ原油 4月限  $49.30  34,530円/KL  
-410円安
東京ドバイ原油 5月限  $49.40  34,600円/KL  
-350円安
東京ドバイ原油 6月限  $49.45  34,630円/KL  
-290円安
東京ドバイ原油 7月限  $49.50  34,670円/KL  
-240円安
●わが国石油会社の購入原油価格の基準
※本日324日(金)は、朝の試算値です。
<わが国石油会社の購入原油価格の基準とCIF参考値
日付  オマーン ドバイ  為替  円貨/KL換算   CIF参考値
わが国購入原油価格の基準とCIF予想
●アジア市場のガソリン・クラック

オマーン原油は、アジア市場の指標原油の一つです。1バレルあたりのオマーン原油とガソリンの価格差(クラック・スプレッド)は、製油所のガソリン精製マージンの推移を調べる目安になります。本年(201723月相場では、下記のように動いています。
<オマーン原油(DME)と シンガポール・ガソリン(92UNLD)プラッツ査定価格との価格差
日付  3月   4月   5月   6月   7月   8月
3/23
3/22 10.225 10.986 10.823 10.506 10.043  9.566
3/21 10.142 10.629 10.512 10.247  9.779  9.247
3/20 10.009 10.363 10.399 10.073  9.680  9.276
3/17  9.928 10.107 10.144  9.945  9.603  9.268
3/16 10.053 10.347 10.284  9.993  9.630  9.290
3/15  9.850  9.830  9.893  9.682  9.345  9.045
3/14 10.179 10.408 10.299 10.031  9.704  9.377
3/13 10.045 10.178 10.170 10.030  9.686  9.304
3/10 10.335 10.476 10.336 10.052  9.655  9.219
3/09 10.346 10.528 10.429 10.187  9.732  9.772
3/08 10.573 10.883 10.526 10.242  9.798  9.317


金利、為替、原油情勢

2017316日(木曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3408
●米連邦公開市場委員会(FOMC)後の金利低下
[1] 米連邦公開市場委員会(FOMC)後、米国債の利回りは低下した。相場の動きを見ると、市場の思惑人気はFOMC前に「債券売り、米ドル買い」に傾斜していたので、そのポジションが積み上がっておれば整理しなければならないだろうと思います。イベント通過後は、市場の思惑人気が事前に積み上げたポジションの整理商いになる公算が大きい。
[2] 当社「日報」では、<イベントによって相場の方向が変わることはない>と記してきました。米国債利回りを指標に<行き過ぎた円安の是正>を追求しています。20172018年の道中は長いので、その都度確認する必要があるところでは立ち止まり、検証しながら進んでいきたいと思います。
[3] 原油相場は2017-2018年の下げを展望しながら、目先は<ブレント原油期近5月限で「49.30ドル」あたりを探りにいけるかどうか>を検証しています。
<米国債の利回りと「ドル円」
米国債の利回り(%)     為替(ドル円)
米国日付 
10年債  2年債   日本日付 東京仲値
3/15    
2.51  1.33   3/16 113.75-113.45-113.15
3/14    
2.60  1.40   3/15   114.83円
3/13    
2.62  1.40   3/14   114.86円
3/10    
2.58  1.36   3/13   114.82円
3/09    
2.60  1.37   3/10   115.22円
3/08    
2.57  1.36   3/09   114.60円
3/07    
2.52  1.32   3/08   113.91円
3/06    
2.49  1.31   3/07   113.98円
3/03    
2.49  1.32   3/06   113.78円
3/02    
2.49  1.32   3/03   114.23円
3/01    
2.46  1.29   3/02   114.00円
●本日のドバイ原油
<本日316日(木)のドバイ原油の試算値
為替は「1ドル=113.35円」で計算します。
限月              円貨換算(113.35円
東京ドバイ原油 2月限  $50.60  36,070円/KL
東京ドバイ原油 3月限  $50.70  36,140円/KL 
-150円安
東京ドバイ原油 4月限  $50.71  36,150円/KL  
-80円安
東京ドバイ原油 5月限  $50.69  36,140円/KL  
-60円安
東京ドバイ原油 6月限  $50.69  36,140円/KL  
+30円高
東京ドバイ原油 7月限  $50.69  36,140円/KL  
+50円高
<わが国石油会社の購入原油価格の基準
日付 オマーン ドバイ 為替(仲値) 円貨/KL換算 CIF参考値
3月のデータ
●米国の石油統計
(@)米国のガソリン需要の伸び悩み、(A)米国製油所の稼働率の低さ、(B)米国の原油増産を中心にデータを入力します。考え方が偏らないようにするため、できるかぎりデータを網羅(もうら)したいと思います。
<米国のガソリン出荷=前年割れが続く
ニューヨークで株高が続いていると、市場の先入観として「さぞや米国のガソリン需要も好調だろう」と錯覚するかもしれません。しかし、実際には、米エネルギー省/EIAのデータを見るかぎり、米国製油所のガソリン出荷量は前年同期を下回っている。
米国製油所の1日あたりガソリン出荷量
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間      ガソリン出荷     前年同期 ガソリン出荷
03/04-03/10  925万4千バレル   03/11  945万8千バレル
02/25-03/03  926万8千バレル   03/04  941万1千バレル
02/18-02/24  868万6千バレル   02/26  912万1千バレル
02/11-02/17  866万3千バレル   02/19  957万6千バレル
02/04-02/10  843万3千バレル   02/12  920万3千バレル
01/28-02/03  894万1千バレル   02/05  912万2千バレル
01/21-01/27  831万0千バレル   01/29  834万1千バレル
01/14-01/20  803万9千バレル   01/22  894万1千バレル
01/07-01/13  806万9千バレル   01/15  907万9千バレル
12/31-01/06  847万0千バレル   01/08  850万0千バレル
12/24-12/30  846万5千バレル   01/01  815万9千バレル
12/17-12/23  927万8千バレル   12/25  939万5千バレル
12/10-12/16  926万9千バレル   12/18  918万5千バレル
12/03-12/09  887万4千バレル   12/11  922万0千バレル
11/26-12/02  875万7千バレル   12/04  942万0千バレル

米国製油所の原油処理量と稼働率
(@)製油所は装置産業です。装置産業では、稼働率がコストに影響します。
(A)米国製油所は例年より稼働率を落としている。
出所: 米エネルギー省/EIA
期間     2017年     2016年     2015年     2014年
03/11-03/17      3/18 88.4%  3/20 89.0%  3/21 88.0%
03/04-03/10 85.1%  3/11 89.0%  3/13 88.1%  3/14 86.8%
02/25-03/03 85.9%  3/04 89.1%  3/06 87.8%  3/07 87.1%
02/18-02/24 86.0%  2/26 88.3%  2/27 86.6%  2/28 87.4%
02/11-02/17 84.3%  2/19 87.3%  2/20 87.4%  2/21 88.0%
02/04-02/10 85.4%  2/12 88.3%  2/13 88.7%  2/14 86.8%
01/28-02/03 87.7%  2/05 86.1%  2/06 90.0%  2/07 87.1%
01/21-01/27 88.2%  1/29 86.6%  1/30 89.9%  1/31 86.1%
01/14-01/20 88.3%  1/22 87.4%  1/23 88.0%  1/24 88.2%
01/07-01/13 90.7%  1/15 90.6%  1/16 85.5%  1/17 86.5%

<米国の原油増産=日量9109千バレル
(@)米国の原油増産が続いている。米国の原油生産は「昨年101-7日=日量平均8450千バレル」から「本年34-10日=同9109千バレル」と「+659千バレル増加」した。原油増産は、米国だけでなくカナダやブラジルでも続く。それらはロシアやメキシコなどの減産幅を上回っている。
(A)市場の思惑人気は「在庫」に偏重している。「在庫」だけを見たのでは現実のプロセスがわからなくなると思います。重要なことは、米国やカナダ、ブラジルなどで原油増産が続いていること。「石油製品在庫」にしても、米国内の需要増加というよりも、米国製油所が稼働率を落として原油処理量を低下させていることが主な要素であるため、それを「買い材料」とすることはできません。
米国原油増産と需給
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
      ┏━━━━━━━━━━━━┓  ┏━━━━━━━━━━━┓
週   
米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
03/04-03/10 
910万9千 704万5千 1615万4千 1547万2千 71万7千 1618万9千
02/25-03/03 
908万8千 815万0千 1723万8千 1549万2千 89万7千 1638万9千
02/18-02/24 
903万2千 758万9千 1662万1千 1566万4千 72万1千 1638万5千
02/11-02/17 
900万1千 728万6千 1628万7千 1527万1千 121万1千 1648万2千
02/04-02/10 
897万7千 849万1千 1746万8千 1545万8千 102万6千 1648万4千
01/28-02/03 
897万8千 937万2千 1835万0千 1589万3千 56万7千 1646万0千
01/21-01/27 
891万5千 829万0千 1720万5千 1594万7千 54万9千 1649万6千
01/14-01/20 
896万1千 781万0千 1677万1千 1604万7千 59万9千 1664万6千
01/07-01/13 
894万4千 837万8千 1732万2千 1646万8千 70万4千 1717万2千
12/31-01/06 
894万6千 905万2千 1799万8千 1710万7千 72万7千 1783万4千
12/24-12/30 
877万0千 718万3千 1595万3千 1668万9千 68万6千 1737万5千
12/17-12/23 
876万6千 816万7千 1693万3千 1655万7千 62万7千 1718万4千
12/10-12/16 
878万6千 847万1千 1725万7千 1665万8千 55万7千 1721万5千
12/03-12/09 
879万6千 736万0千 1615万6千 1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 
869万7千 830万3千 1700万0千 1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 
869万9千 754万8千 1624万7千 1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 
869万0千 757万8千 1626万8千 1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 
868万1千 842万3千 1710万4千 1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 
869万2千 744万2千 1613万4千 1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 
852万2千 899万5千 1751万7千 1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 
850万4千 701万6千 1552万0千 1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 
846万4千 690万7千 1537万1千 1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 
845万0千 786万1千 1631万1千 1555万2千 48万1千 1603万3千
●リビア情勢続報
[1] リビアでは33日、「ベンガジ防衛旅団」が、石油の三日月地帯からハフタル将軍の部隊を追い払い、同地帯を制圧した後、セラージュ首相の国民合意政府(GNA)大統領評議会の石油施設警護隊に原油積み出し港を引き渡したが、その10日後、今週314日(火)にハフタル軍が反撃し、「アッ・シドラ港」および「ラッス・ラノウフ港」の原油出荷ターミナルを奪回したと伝えられた。「ベンガジ防衛旅団」は、ハフタル軍の空爆から命を守り、原油出荷ターミナルの被害を防ぐために撤退せざるを得なかった。それに加えて今週は、シリアに続き、イエメンやリビアでも、ロシアの介入が取りざたされている。
[2] 「複数の関係筋によると、ロシアは、リビア国境に近いエジプト西部のシディ・バラニ(sidi barani)に特殊部隊を配備した模様だ。ドローンも配備されており、エジプトの治安当局筋によると、特殊部隊は22人で構成されている。リビアのハフタル将軍を支援することが狙いではないかとの見方が出ている。」(ロイター)


リビア情勢の転回とその分析

201736日(月曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3400
2017-2018年の原油下げを展望するためには、米国やカナダなどの原油増産だけでなく、イラクやイラン、そしてリビアの生産と輸出が重要になると考えています。リビア情勢は、この先の相場を考えるうえでとても大事です。
●サウジアラビアのアジア向け調整項値下げ
[1] 本年(2017)のアジア市場では、111日にアラブ首長国連邦(UAE)のルワイス製油所で火災が発生し、ガソリン製造装置が停止したことで、アブダビ国営石油会社(ADNOC)はガソリン不足を補うために3-4月のガソリンを購入することになった。これが2月上旬のアジア・ナフサ/ガソリンのクラックを押し上げる要因になった。しかし、アブダビ国営石油(ADNOC)は219日までに3-4月のガソリン不足分の手配を一巡させたことによって、2月下旬からアジア・ナフサ/ガソリンのクラックは低下しています。
[2] 220日以降、シンガポールの「ナフサ/ガソリン」のクラック低下は、サウジアラビアのアジア向け4月積み原油の調整項値下げに反映された。軽質油種を中心に4月積み価格フォーミュラの調整項値下げとなった。
<オマーンおよびドバイ原油のスポット価格の平均値に対する調整項
単位:米ドル/バレル
油種        4月   3月   4月積みの値下げ幅
スーパーライト  +3.95  +4.45  
-0.50ドル/バレル安
エキストラライト +0.95  +1.70  
-0.75ドル/バレル安
ライト      -0.15  +0.15  
-0.30ドル/バレル安
ミディアム    -0.85  -0.55  
-0.30ドル/バレル安
ヘビー      -2.60  -2.60  
変わらず
●リビア情勢
これに対して、週末33日の欧米原油先物は「数10セント」戻した。
<ブレント原油20175月限の相場表
日付      始値  高値  安値  帳入値
3月03日(金) 55.18 55.95 55.09 55.90 +0.82
リビア
3月02日(木) 56.31 56.44 55.03 55.08 -1.28
3月01日(水) 56.45 57.05 56.24 56.36 -0.15
2月28日(火) 56.52 56.64 55.62 56.51 +0.09
2月27日(月) 56.32 57.06 56.28 56.42 +0.11

[1] この戻りは、主としてリビア中東部の石油三日月地帯で、「ベンガジ防衛旅団」が「アッ・シドラ」および「ラッス・ラノウフ」原油積み出しターミナルの支配をハフタル軍から奪回したことにともなう<情報の錯綜>を反映していた。リビアのことは、外から見ていると複雑怪奇なところがあり、東西で対立する勢力が国際的な支持を得るために「嘘」を流すので余計に錯綜します。日本にいて、リビア情勢を追跡するのは困難であり、その正確さにも限度がともないますが、できるかぎり「33日〜35日」の情勢について調べたことをお伝えします。当社では、戻りを買う要素はないと考えています。
[2] OPECの発表で、リビアの原油生産は昨年(20168月に「日量27万バレル」まで落ち込んだあと、現在では「同70万バレル」に回復しており、リビア国営石油(NOC)は「同120万バレル」に向けて活動している。リビアは東西に分裂し、衝突を繰り返している。そのなかで感じることは、いずれの勢力であっても自らの公務員には給与を支払わなければならず、軍事組織あるいは民兵グループにも装備の更新や給与の支給が必要で、民生面では電力供給や燃料油の出荷を滞らせるわけにはいかないので、それぞれの勢力が収入の源泉である石油施設に被害が及ぶ衝突は自制している点です。そのなかで、昨年9月以降はリビア中東部の「アッ・シドラ港」「ラッス・ラノウフ港」「ズウェイティーナ港」「マルサ・ブレガ港」の集荷と積み出しが再開し、西部では「Rayayanaパイプライン」が再開した。
33日(金)
[1] 欧米原油先物が週末33日に「数10セント」戻したのは、「ベンガジ防衛旅団」が「アッ・シドラ」および「ラッス・ラノウフ」原油積み出しターミナルからハフタル軍を駆逐し、ベンガジに向けて進撃を開始したからであった。欧米ファンドはそれを「リビア情勢の後退」と解釈し、33日の戻りを買った可能性が高い。ハフタル軍やハフタル軍を支持する「テレビ・コメンテータ」は33日(金)、「ベンガジ防衛旅団はアルカイダとつながりがある」とか「ハフタル軍はこれら原油積み出しターミナルの支配を再び奪回した」とか、嘘の情報を国際社会に向けて流した。
[2] ハフタル将軍は「リビア国民軍」を名のり、これまで仏軍や米軍、エジプト軍などの支援を受け、昨年からはロシアに出向いて支援を要請してきたが、今回の衝突で原油積み出し港から排除されたことは「ハフタルもたいしたことない」という意見が出ている。ハフタル将軍はすでに75歳となり、その息子をハフタル軍の高官にしていることも評判が悪い。「ハフタル将軍がリビアの平和と安定にとって障害」という見方は根強い。33日(金)からの動きを拾い出してみると、下記のような推移です。
「ベンガジ防衛旅団」が、リビア中部の町 Bin JawadNofaliyaからベンガジへ進撃
その道中で「シドラ港」や「ラッス・ラノウフ港」のハフタル軍を駆逐

a) 「ベンガジ防衛旅団」は、原油輸出ターミナルの支配が目的ではなく、リビア中部の町Bin JawadNofaliyaからベンガジ帰還を目指しており、その道中で「シドラ港」や「ラッス・ラノウフ港」「ラッス・ラノウフ空港」のハフタル軍を駆逐した。ハフタル軍は34日(土)、「シドラ港」近くを空爆した。犠牲者の報告はない。
b) リビア西部のハフタル軍傘下のジンタン民兵は「非常事態」を宣言し、原油積み出し港をめぐる戦いに介入する用意はできていると述べた。
c) リビア東部の代表議会(HoR)の35名は「ベンガジ防衛旅団」による原油積み出し港の乗っ取りに抗議するため、リビアの政治対話を拒否し、大統領評議会のOmer Al-AswadAli Al-GotraniFathi Al-Mijibriに評議会から退くことを求めた。
d) ハフタル支持のメディアは33日(金)、「ベンガジ防衛旅団」は「アルカイーダとつながりがあるテロリスト・グループ」とか、ハフタル軍が「シドラ港」と「ラッス・ラノウフ港」を奪回したとかのキャンペーンを開始した。ハフタル軍の広報は、原油積み出し港が「ベンガジ防衛旅団」に奪われたことを認めたあと、それらを取り戻すためにあたらしい軍事作戦「稲妻」を宣言した。
e)一方、リビア東部のデルナ評議会の戦闘員は34日(土)早朝、ハフタル軍傘下の民兵を奇襲した。
f) リビア東部の代表議会(HoR)の代表、リビア対話委員会、ミスラタおよびジンタン市当局は、対立する諸勢力のミゾに橋を架け、膠着状態を打開するため、チュニジアで会った。
gAjdabiyaの「リビア赤新月社」の広報は、「ベンガジ防衛旅団」との衝突で殺された13人の遺体をハフタル軍から受け取った。遺体の移送は衝突した双方の調整の下で、(@)Bashirの赤新月社ボランティアに死体を引き渡す、(A)「ラッス・ラノウフ」地域には立ち入らないと条件でおこなわれた。
h「ベンガジ防衛旅団」によって原油積み出しターミナルのハフタル軍が駆逐されて1日後、「ブレガ・オイル・マーケティング社」は34日(土)のリポートで、「ラッス・ラノウフ」原油ターミナルと石油施設、そのインフラに被害はないと述べた。「ベンガジ防衛旅団」は、ハフタル軍の反撃を破ったあと、「シドラ港」および「ラッス・ラノウフ港」を、国のしかるべき機関が引き継ぐことを求めた。
35日(日)
i) リビア・ガス・オイルの長官は、「ベンガジ防衛旅団」は蛮行によって石油施設を破損するようなことはしていない、彼らは素通りさせており、施設に手をつけていないこと、原油生産は衝突による影響を受けておらず、その前と同じように「日量73万〜75万バレル」を維持していると述べた。
j) トリポリの国民救済政府は、リビア国営石油(NOC)の本社に侵入したとのニュースを否定した。リビア国営石油のスタッフは平常に仕事をしている。
k) トリポリの国民合意政府(GNA)・大統領評議会の石油施設警護隊司令官は、「シドラ港」および「ラッス・ラノウフ港」の支配権を「ベンガジ防衛旅団」から引き継ぐと述べた。彼は、すべての石油施設警護隊成員に支配を引き継ぐ準備と当該地域の停戦を要求した。「ベンガジ防衛旅団」はハフタル軍を「シドラ」および「ラッス・ラノウフ」原油ターミナルから駆逐したあと、ベンガジに向けて進撃するため、国の当局者にそれらを引き継ぐことを求めていた。
l) 「ベンガジ防衛旅団」のYabha Al-Jabaliは、トリポリ、ミスラタ、セブハから、ベンガジに帰還する戦いに参加していると述べた。
m) ハフタル将軍は、(@)原油輸出ターミナルを再び奪回するために増援部隊を派遣しているとか(A)空爆をしたとか発表し、(B)「ベンガジ防衛旅団」はアルカイーダやムスリム同胞団とつながりがあるテロリスト・グループとのキャンペーンをおこなっているが、「ベンガジ防衛旅団」によって排除されたところを見ると、たいした力は持っていない。「シドラ港」および「ラッス・ラノウフ港」の原油積み出しターミナルは、国民合意政府(GNA)の石油施設警護隊が「リビア国営石油」(NOC)に協力して管理し、リビア原油の生産と輸出が続く可能性が高い。
n) 東西のどの勢力も、その収入の源泉は石油にある。石油施設に火の粉がおよぶような衝突は望んでいない。昨年から原油積み出し港やパイプラインをめぐる対立や衝突があったが、どの勢力でも施設に被害を出す交戦は避けている。
o) 原油相場は、33日(金)の戻りからさらに戻りを買う要素はない。ハフタル将軍は、これまで対立する諸勢力のあいだで対話を拒否してきた。今回33日(金)に始まった反ハフタルの動きはリビア情勢のあらたな転回になる可能性がある。


何が「買い材料」?

2017224日(火曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3394
昨日23日(木)は、アメリカ石油協会が日本時間午前630分に発表した「211日〜217日の米国石油統計」で、「米国原油在庫が前週比-884,000バレル減少した」ことを「買い材料」とする思惑人気があった。しかし、われわれが見なければならないのは、そんなものではありません。
●米国製油所の原油処理量削減(稼働率低下)
米国石油統計で見なければならないのは、米国の原油生産であり、製油所の原油処理量と稼働率であり、製油所の石油製品出荷量であり、そして、石油会社の原油輸入量と輸出量です。
(@) 製油所は装置産業です。装置産業では、稼働率がコストに影響します。
(A) 米国製油所は原油処理量を削減し、稼働率を落としている。
(B) それは<米国の石油製品在庫の多さ>と<需要の伸び悩み>を反映している。
<米国製油所の稼働率
出所: 米エネルギー省/EIA
期間     2017年     2016年     2015年     2014年 
02/11-02/17 
84.3%  2/19 87.3%  2/20 87.4%  2/21 88.0%
02/04-02/10 
85.4%  2/12 88.3%  2/13 88.7%  2/14 86.8%
01/28-02/03 87.7%  2/05 86.1%  2/06 90.0%  2/07 87.1%
01/21-01/27 88.2%  1/29 86.6%  1/30 89.9%  1/31 86.1%
01/14-01/20 88.3%  1/22 87.4%  1/23 88.0%  1/24 88.2%
01/07-01/13 90.7%  1/15 90.6%  1/16 85.5%  1/17 86.5%
12/31-01/06 93.6%  1/08 91.2%  1/09 91.0%  1/10 90.0%

●米国でもガソリン出荷量が低迷
(@)ニューヨークで株高が続いていると、ガソリンがバンバン売れて、需要が好調なように錯覚するかもしれませんが、実際は、米国のガソリン需要は前年同期を下回っている。米エネルギー省/EIAのデータでも、本年の米国ガソリン需要は伸び悩んでいる。
(A)米国ガソリン在庫の多さは、需要の失速が背景にある。
(B)このため、米国製油所は例年以上に原油処理量を削減し、稼働率を落として、石油製品在庫を調整していると推測しています。
<米国製油所の1日あたりガソリン出荷量
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
期間     ガソリン出荷     前年同期 ガソリン出荷
02/18-02/24            02/26  912万4千バレル
02/11-02/17  
866万3千バレル   02/19  957万6千バレル
02/04-02/10  
843万3千バレル   02/12  920万3千バレル
01/28-02/03  
894万1千バレル   02/05  912万2千バレル
01/21-01/27  
831万0千バレル   01/29  834万1千バレル
01/14-01/20  
803万9千バレル   01/22  894万1千バレル
01/07-01/13  
806万9千バレル   01/15  907万9千バレル
12/31-01/06  847万0千バレル   01/08  850万0千バレル
12/24-12/30  846万5千バレル   01/01  815万9千バレル
12/17-12/23  927万8千バレル   12/25  939万5千バレル
12/10-12/16  926万9千バレル   12/18  918万5千バレル
12/03-12/09  887万4千バレル   12/11  922万0千バレル
11/26-12/02  875万7千バレル   12/04  942万0千バレル

●米国の原油増産と輸出拡大
[1] 米国市場で、<石油製品在庫の多さ>と<需要の伸び悩み>のなかで、米国製油所が在庫調整のために原油処理量を削減し、稼働率を落としている。それを「買い材料」と言うだろうか?
[2] アジア市場(シンガポール)でも、先週から今週はガソリン・クラック(精製マージンの指標)が低下している。本年(2017111日にアブダビ国営石油会社(ADNOC)はルワイス製油所の火災のあと、3-4月のガソリンを24万トン以上購入したが、その手配一巡後は、シンガポールのガソリン・クラックが低下している。シンガポールでも石油製品在庫は潤沢にあります。
[3] 米国石油統計で見なければならないのは、製油所の原油処理量と稼働率、製油所の石油製品出荷量だけでなく、米国の原油増産と輸出拡大です。米国の2月原油輸出は「日量100万バレル」を超えて、記録を更新しています。
(@)米国の原油増産が続く。ロシアの減産より米国の増産が大きい。
(A)米国の原油輸出は「日量100万バレル」を超えて拡大している。
(B)米国の原油輸入は、カナダ以外は抑制している。
(C)米国製油所の原油処理量と稼働率は前年同期を下回っている。
(D)米国製油所のガソリン出荷量も前年同期を下回っている。
<米国原油生産と需給
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
      ┏━━━━━━━━━━━━┓  ┏━━━━━━━━━━━┓
週   
米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
02/11-02/17 
900万1千 728万6千 1628万7千 1527万1千 121万1千 1648万2千
02/04-02/10 
897万7千 849万1千 1746万8千 1545万8千 102万6千 1648万4千
01/28-02/03 
897万8千 937万2千 1835万0千 1589万3千 56万7千 1646万0千
01/21-01/27 
891万5千 829万0千 1720万5千 1594万7千 54万9千 1649万6千
01/14-01/20 
896万1千 781万0千 1677万1千 1604万7千 59万9千 1664万6千
01/07-01/13 
894万4千 837万8千 1732万2千 1646万8千 70万4千 1717万2千
12/31-01/06 
894万6千 905万2千 1799万8千 1710万7千 72万7千 1783万4千
12/24-12/30 
877万0千 718万3千 1595万3千 1668万9千 68万6千 1737万5千
12/17-12/23 
876万6千 816万7千 1693万3千 1655万7千 62万7千 1718万4千
12/10-12/16 
878万6千 847万1千 1725万7千 1665万8千 55万7千 1721万5千
12/03-12/09 
879万6千 736万0千 1615万6千 1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 
869万7千 830万3千 1700万0千 1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 
869万9千 754万8千 1624万7千 1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 
869万0千 757万8千 1626万8千 1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 
868万1千 842万3千 1710万4千 1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 
869万2千 744万2千 1613万4千 1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 
852万2千 899万5千 1751万7千 1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 
850万4千 701万6千 1552万0千 1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 
846万4千 690万7千 1537万1千 1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 
845万0千 786万1千 1631万1千 1555万2千 48万1千 1603万3千
「在庫」の増減だけで強弱を論じることはできません。当社では、米国でもアジアでも、潤沢な供給が続いていると考えています。
●為替(ドル円)

東京の円貨建ては、為替が大きな要因になる。今朝も米国債利回りが低下したので、本日224日(金)は1ドル=112.88112.30あたりで推移する公算が大きい。
(@) 当社では昨秋以降、米10年債利回り「2.452.50%」をメドに描いてきました。
米経済はまだ急激な利上げが必要な新体制に移行したわけではなく、米金利は低い水準にとどまる公算が大きいので、米10年債利回りは「2.452.50%」をメドに描いてきました。したがって、米大統領選後の米国債の利回り上昇は<行き過ぎている>と考えています。
(A) 金利と為替には相関があります。
年明けの東京市場では、米10年債の利回りが「2.452.50%」に低下していたにもかかわらず、外為市場のドル円は「1ドル=118円」の思惑人気に振れた。金利指標から乖離していた。このため、<金利指標からの乖離を是正する>とお伝えしました。本年1月相場では、為替(ドル円)と米金利の相関を分析し、もみあいを通して関数(Y=AX+B)の切片(B)を引き下げてきたと考えています。引き続き、<行き過ぎた円安>に対しては、第1段階の水準是正を追求します。
a) 米大統領選後の米国債の利回り上昇は行き過ぎている。
b) 為替(ドル円)も日米の金利指標から乖離して行き過ぎている。
c) 行き過ぎたものはその是正が必要です。当社では<まず本年第1段階の目標として111109円あたり>を当面の課題にしています。
(B)本日224日(金)の為替=「112.88112.30円」
1ドル=112.88112.30円」あたりで揉み合う可能性が高い。
<米国債の利回りと「ドル円」
相関分析の出発点としては、散布図を作成すると概要がつかめると思います。
米国債の利回り(%)     為替(ドル円)
米国日付  10年債  2年債  日本日付 東京仲値
2/23    2.38  1.18   2/24  
112.88〜112.30円
2/22    2.42  1.22   2/23   113.37円
2/21    2.43  1.22   2/22   113.66円
2/20    休み       2/21   113.43円
2/17    2.42  1.21   2/20   112.88円
2/16    2.45  1.22   2/17   113.47円
2/15    2.51  1.27   2/16   114.11円
2/14    2.47  1.25   2/15   114.50円
2/13    2.43  1.20   2/14   113.69円
2/10    2.41  1.20   2/13   113.96円


サウジアラビアの単独減産は持続するのか?

2017214日(火曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3387
[1] 昨日213日(月)の「日報」では、ロイターやブルームバーグなどが「OPEC減産」と伝えるなかで、プラッツ社の推計をもとに<事実上、サウジアラビアの単独減産>とお伝えしました。サウジアラビアが<単独減産>に追い込まれており、それをバーレーン、クウェート、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの「湾岸協力理事会」(GCC)加盟国が支えている構図です。
[2] サウジアラビアの減産は、1-3月の季節的要素を含んでおり、夏場に持続できるとは考えにくい。国際原油取引の指標であるブレンド原油では、本年(20171-6月以降の先高観が後退し、同ザヤ化しています。
[3] 非OPECのロシアは「日量-5万バレル」「同-10万バレル」と段階的な減産を表明しているので、「1月減産」はせいぜい「日量-10万バレル」程度にとどまり、メキシコの自然減退など非OPEC11カ国を合わせても「約束の40%」にすぎない。米国やカナダの昨年10月以降の増産分の方が大きい。原油先物におけるファンドの記録的な買いが標的になる可能性もあると考えています。
2017213日(月)のブレント原油(ICE
限月          始値  高値  安値  帳入値
ブレント原油 04月限  56.68 56.81 55.41 55.59  -1.11
ブレント原油 05月限  57.02 57.14 55.79 55.96  -1.10
ブレント原油 06月限  57.35 57.44 56.09 56.25  -1.11
ブレント原油 07月限  57.51 57.59 56.29 56.44  -1.11
ブレント原油 08月限  57.69 57.69 56.41 56.56  -1.10
ブレント原油 09月限  57.67 57.72 56.45 56.60  -1.10
ブレント原油 10月限  57.49 57.68 56.45 56.58  -1.09
ブレント原油 11月限  57.59 57.60 56.41 56.54  -1.07
ブレント原油 12月限  57.61 57.61 56.34 56.49  -1.07

<本日214日(火)のドバイ原油の試算値
限月               円貨換算(113.68円)
前日比-700-490円安あたりで推移する公算が大きい
東京ドバイ原油 2月限  $53.90   38,540円/KL
東京ドバイ原油 3月限  $53.98   38,590円/KL   -710円安
東京ドバイ原油 4月限  $54.06   38,650円/KL   -620円安
東京ドバイ原油 5月限  $54.11   38,690円/KL   -560円安
東京ドバイ原油 6月限  $54.15   38,720円/KL   -470円安
東京ドバイ原油 7月限  $54.18   38,740円/KL   -490円安

●リビアの原油生産
リビア国営石油(NOC)は、OPEC減産に参加しない。昨年9月以降は、リビア原油の増産に努めている。そして、この先、リビアの原油生産が「日量125万バレル」に向けて回復するためには、現在の東西に分裂している政府を統一しなければならない。当社では、その可能性があると考えて、リビア統一の動きを調べています。
<リビアの原油生産(OPEC/secondary sources
2017年01月 日量 67万5千バレル
2016年12月 日量 61万0千バレル
2016年11月 日量 57万7千バレル
2016年10月 日量 52万8千バレル
2016年09月 日量 36万0千バレル
2016年08月 日量 27万0千バレル

<セラージュ首相とハフタル将軍の会談について
[1] 本年(2017127日の「日報」(石油)では、<リビア西部の国民合意政府(GNA)セラージュ首相とリビア東部のハフタル将軍が会談する>可能性をお伝えしました。国連も欧米諸国も、そして、ロシアも周辺アラブ諸国も、リビア統一のためには、東部で大きな影響力をもつハリーファ・ハフタル将軍を「将来の統一政府に参加させる」ことで合意が形成されつつあるように思います。
[2] 野口雅昭氏は、今朝のリポートで次のように記しています。「昨日リビア問題の政治的解決について、種々の動きがあることを報告しました。そのセラージュ首相が211日にカイロに到着し、例のハフタル将軍も12日に到着して、エジプトが仲介して両者の会談が行われるらしいとの報道が、2つほどのアラビア語メディアに載っていました。両者はエジプト軍参謀総長の仲介で会談することになっていると報じています。そして、213日に予定されていた会談は14日に延期となり、13日セラージュ首相は打ち合わせのためにエジプト参謀総長と会談しただけであったとしています。その他に、西部の国民合意政府(GNA)ではほかのメンバー等の大規模代表団がカイロに到着したことや、このエジプトの仲介が、リビアの政治的解決のための周辺国(エジプト、チュニジア、アルジェリア等)の努力の一環で、リビアの関係者に対して解決を見つけるように圧力を加えることにあるとか伝えています。昨日も書いた通り、リビア情勢についてはよくわからないところが多すぎますが、とりあえずは本日14日に会談が行われるのか、その結果何らかの合意ができるのか注目しています。」
[3] リビア西部の国民合意政府(GNA)セラージュ首相とリビア東部のハフタル将軍が本日214日に会談したのかどうか? この両者が統一政府樹立に向けた行程表に合意できるのかどうか? 今後のリビアの原油生産と出荷にも関係することなので、引き続き調査します。当面の大事なところと考えています。
●為替(ドル円)

東京市場の円貨/キロリットル建て相場は、為替が主要因です。
(@) 米10年債利回りは「2.452.50%」をメドに描いてきました。
当社「日報」では、米経済はまだ急激な利上げが必要な新体制に移行したわけではなく、米金利は低い水準にとどまる公算が大きいので、米10年債利回りは「2.452.50%」をメドに描いてきました。したがって、米大統領選後の米国債の利回り上昇は<行き過ぎている>と考えています。
(A) 金利と為替には相関があります。
年明けの東京市場では、米10年債の利回りが「2.452.50%」に低下していたにもかかわらず、外為市場のドル円は「1ドル=118円」の思惑人気に振れた。金利指標から乖離していた。このため、<金利指標からの乖離を是正する>とお伝えしました。本年1月相場では、為替(ドル円)と米金利の相関を分析し、もみあいを通して関数(YAXB)の切片(B)を引き下げてきたと考えています。引き続き、<行き過ぎた円安>に対しては、第1段階の水準是正<111109円あたり>を目指しています。


米国の原油増産

2017112日(木曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3365
昨年(20161130日の石油輸出国機構(OPEC)の定例総会で、「20171-6月にOPEC全体で日量-120万バレルの減産」(→日量3250万バレル)、「非OPECで日量-60万バレルの減産」(そのうちロシアが-30万バレル)という計画が発表された。
(@) ロシアとサウジアラビアなどによる減産計画には、米国、カナダ、ノルウェー、英国、ブラジル、中国などは参加しない。OPEC加盟国であっても、リビアやナイジェリアは参加しない。インドネシアも減産に参加せず、加盟資格停止となった。イランは減産から除外され、当面の増産を認めた。
(A) ロシアとサウジアラビアの「20171-6月の減産計画」は、メキシコのように「生産油田の自然減退」を含んでいる。さらに、アゼルバイジャンなどは「メンテナンス」を減産としてカウントする。そして、米国シェール・オイルを過小評価し、「シェール・オイルの減産が続く」と想定している。「米国シェール・オイルの減産が続く」と想定し、そのなかでOPECおよび非OPECが生産削減に乗り出すことによって「価格上昇」を思惑している。
(B) これに対して、米エネルギー省/EIA110日に発表した「短期エネルギー見通し」で、米国の原油生産は増産に反転したと告げた。2017年のOPEC原油生産については、イランやリビアで増大するので、さほど減少しないと見ている。
OPECの原油生産 (米エネルギー省/EIA
2017年平均予想  日量3,322万バレル
2016年12月推定  日量3,355万バレル
   11月推定  日量3,376万バレル

※イランは核開発で制裁を受けていた期間、生産した原油を大量のタンカーで洋上備蓄してきた。イランはそうした洋上備蓄も売却しているので、インドなどでイラン原油の輸入が大幅に増えた。
●米国の原油増産
米国原油はすでに増産に転じている。米エネルギー省/IEAは、「2017年の米国原油生産を日量900万バレル」に引き上げた。昨年(20164月の予想では「2017年の米国原油生産は日量804万バレル近傍に低下する」としていたが、今週110日のリポートでは「2017年平均=日量900万バレル」へ引き上げた。昨年4月予想から「+日量100万バレル」も増加した。そして、201812月には「日量944万バレル」に増える見通し。米国シェール・オイルが増加するだけでなく、メキシコ湾の原油生産も「2016年=日量160万バレル」から「2017年=同170万バレル」、「2018年=同190万バレル」に拡大するとしている。米エネルギー省/IEAが「2017年の米国原油生産を日量900万バレル」に引き上げたことは、すでに現在のデータで米国原油の増産を確認し、「日量900万バレル」の手掛かりがあることを示唆している。 "The general decline in US crude oil production that began almost two years ago is likely over, as higher average oil prices and improvements in drilling efficiency are giving a boost to output," EIA Administrator Adam Sieminski said in a statement.
<米国の原油生産(米エネルギー省/EIA
2017年 1月 日量 900万  バレル 予想
2016年12月 日量 890万  バレル 予想
   11月 日量 886万  バレル 予想
   10月 日量 880万7千バレル 確定
   09月 日量 857万5千バレル 確定
   08月 日量 875万9千バレル 確定
   07月 日量 869万1千バレル 確定
   06月 日量 871万1千バレル 確定
   05月 日量 888万2千バレル 確定
   04月 日量 894万7千バレル 確定
   03月 日量 917万4千バレル 確定
   02月 日量 914万7千バレル 確定
   01月 日量 919万4千バレル 確定

(@) 昨夜の原油相場は、米国石油統計発表後に「米ドルの下げ」とともに「原油を買い直す」動きが拡大した。それは石油市場のファンダメンタルズというよりも、米ドルの下げに連鎖していた。当社では、原油相場と「米ドル指数」や「ユーロ/ドル」が、投資家の思惑人気のなかで連鎖することがあっても、トレンドを形成するような相関はないと考えています。目の前の印象としては、米ドルが上昇しているときは原油に下押し圧力がかかり、米ドルが下落すれば原油を押し上げる要素になるが、しかし、米ドルの水準によって原油価格が決まるわけではない。局面的に連鎖することがあっても、それが基調として相関しているわけではない。昨夜の原油相場は、市場参加者のなかに「米ドルを中心に思惑する筋」があったため、思惑の方向が「ユーロ/ドル」と重なって上昇したが、米国石油統計で<米国の原油増産>を確認することができた。1231日-16日」の週で、米国原油生産は日量8946千バレルに増加した。+日量20万バレル見当」で見れば、米国原油生産は「日量900万バレル」に乗せた可能性が高い。輸入原油の増加と合わせて、原油在庫が増える。
(A)米エネルギー省が発表する「石油統計」は週間で発表する「速報値」だけでなく、月間の「確報値」があります。「米国の原油生産」の場合、速報値の数字よりも確報値が大きい。「月間 確報値」は「週間 速報値」よりも「+日量20万バレル」あたり多い。
<米国の原油需給(週間速報値)
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
週    米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
12/31-01/06 
894万6千 905万2千 1799万8千  1710万7千 72万7千 1783万4千
12/24-12/30 
877万0千 718万3千 1595万3千  1668万9千 68万6千 1737万5千
12/17-12/23 
876万6千 816万7千 1693万3千  1655万7千 62万7千 1718万4千
12/10-12/16 
878万6千 847万1千 1725万7千  1665万8千 55万7千 1721万5千
12/03-12/09 
879万6千 736万0千 1615万6千  1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 
869万7千 830万3千 1700万0千  1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 
869万9千 754万8千 1624万7千  1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 
869万0千 757万8千 1626万8千  1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 
868万1千 842万3千 1710万4千  1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 
869万2千 744万2千 1613万4千  1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 
852万2千 899万5千 1751万7千  1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 
850万4千 701万6千 1552万0千  1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 
846万4千 690万7千 1537万1千  1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 
845万0千 786万1千 1631万1千  1555万2千 48万1千 1603万3千
09/24-09/30 
846万7千 771万0千 1617万7千  1603万2千 44万0千 1647万2千
09/17-09/23 
849万7千 783万5千 1633万2千  1633万4千 50万7千 1684万1千
09/10-09/16 
851万2千 830万9千 1682万1千  1658万7千 58万8千 1717万5千
09/03-09/09 
849万3千 806万2千 1655万5千  1673万0千 41万8千 1714万8千
08/27-09/02 
845万8千 706万9千 1552万7千  1693万0千 50万1千 1743万1千
●カナダの原油生産
カナダの原油生産についても、昨年(2016)は5月の森林火災でオイルサンドの開発が停滞したが、米エネルギー省/EIAの見通しでは、2017年、2018年は「日量+20万バレル」の増加が続く。つまり、昨年1130-1210日に公表された「非OPECの日量-60万バレルの減産」は、すでに米国やカナダの増産で相殺される。
●トランプ勝利後の米金利と為替
穀物および石油価格の変動は、わが国の建値基準(=円貨)では「為替」が主要因です。わが国当業者がもっとも頭を悩ませているのは「為替」(ドル円)だと思います。
(@) 当社では、米10年債利回りは「2.452.50%」をメドにお伝えしてきました。
トランプ勝利後の市場では、インフレ期待の思惑が拡大した。当社では、米大統領選後の米国債の利回り上昇は<行き過ぎている>と考えています。米10年債利回り「2.50%」以上には抵抗があると予想しました。
(A) 金利と為替には相関があります。
年明けの東京市場では、米10年債の利回りが「2.452.50%」レンジに低下していたにもかかわらず、外為市場のドル円は「1ドル=118円」の思惑人気に振れた。金利指標から乖離していた。このため、当社「日報」では、金利指標からの乖離を是正するとお伝えしました。
a)米大統領選後の米国債の利回り上昇は行き過ぎている。
b)為替(ドル円)も日米の金利指標からも乖離して行き過ぎている。
c)したがって、その是正が必要です。
(B)米10年債入札が堅調だった。
111日の米10年債入札が堅調だったことを受け、10年債利回りは昨年1130日以来の2.329%まで低下する場面があったと伝えられた。10年債入札は、応札倍率は2.58倍と、20166月以来の高水準となった。米財務省は112日、120億ドルの30年債入札を実施する。
(C)本日112日の為替(ドル円)について
昨日の為替(ドル円)は「116.85114.25円」レンジで振幅した。本日112も米金利指標が継続しているので1ドル=115.55114.25円」を想定します。
<米国債の利回りと「ドル円」
※東京仲値は三菱東京UFJ銀行
※米10年債利回りは「2.45%以下」で推移しています。
米国債の利回り(%)     為替(ドル円)
米国日付  10年債  2年債  日本日付 東京仲値

01/11    2.38  1.20   01/12
01/10    2.38  1.19   01/11   115.96円
01/09    2.38  1.21   01/10   115.96円
01/06    2.42  1.22   01/09   休み
01/05    2.37  1.17   01/06   115.72円
01/04    2.46  1.24   01/05   116.56円
01/03    2.45  1.22   01/04   117.96円
01/02    休み        01/03   休み
12/30    2.45  1.20   01/02   休み
12/29    2.49  1.22   12/30   116.49円
12/28    2.51  1.26   12/29   117.19円
12/27    2.57  1.28   12/28   117.68円
12/26    休み        12/27   117.45円
12/23    2.55  1.22   12/26   117.02円
12/22    2.55  1.22   12/23   休み
12/21    2.55  1.21   12/22   117.72円
12/20    2.57  1.25   12/21   117.94円
12/19    2.54  1.24   12/20   117.18円
12/17    2.60  1.28   12/19   117.63円
12/15    2.60  1.29   12/16   118.18円
12/14    2.54  1.27   12/15   117.72円


リビア=「アッシドラ」から原油積み出し再開

201714日(水曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3360
●リビアの原油生産と輸出
[1] リビア東部には、「アッシドラ」(日量45万バレル)、「ラッス・ラノウス」(同25万バレル)、「マルサブレガ」(同16万バレル)、「ズウェイティーナ」(同25万バレル)、「マルサハリガ」(同30万バレル)など原油出荷ターミナルがある。リビア西部にも、「ザーウィヤ」(日量35万バレル)、「メリタ」(同15万バレル)の原油出荷ターミナルがあり、「洋上油田」には浮体式貯蔵出荷施設がある。
[2] こうした「出荷ターミナル」と「貯蔵タンク施設」や「パイプライン」が稼働していなければ、リビア内陸部の油田は生産することができない。原油の出荷ターミナルと施設が対立勢力によって封鎖されたままでは、内陸部の油田は生産を再開することができない。昨年(20169月までは、リビア東部の石油施設は、西部支持勢力が閉鎖し、リビア西部の石油施設は、東部支持勢力が閉鎖していた。
[3] 昨年(20169月、リビア東部ではハフタル将軍が東部の原油輸出出荷ターミナルに侵攻し、東部の石油施設を再開したことによって、リビアの原油生産は年末12月「日量60万バレル」に回復した。リビア西部でも、年末12月に「アル・シャララ油田」と「ザーウィヤ」を結ぶパイプラインが再開したことで、リビアの原油生産は年明け11日に「同685千バレル」に増加したと発表された。リビアは、ロシアとサウジアラビアが計画した減産には参加しない。当社では、本年(20172-3月に向けて「日量775千〜90万バレル」を目指す公算が大きいと考えています。
<リビアの原油生産 単位:日量平均/バレル
8月   9月   10月   11月   12月  1月1日
27万0千 36万0千 52万8千 57万5千 60万 → 68万5千

●「アッシドラ」から原油積み出しが再開
リビア現地のニュースによれば、リビアの原油タンカー「Al-Hani」が今週12日、フランス向け積み出しのために「アッシドラ出荷ターミナル」に入着した。これは、ここ3年間で初めて「アッシドラ出荷ターミナル」からの原油積み出しになる。リビア東部には、「ラッス・ラノウス」(日量25万バレル)、「マルサブレガ」(同16万バレル)、「ズウェイティーナ」(同25万バレル)、「マルサハリガ」(同30万バレル)の出荷ターミナルがあり、今週の原油タンカー入着で「アッシドラ」(日量45万バレル)からも出荷が再開すると、<リビア東部で日量90万バレルの原油生産>が可能になると思います。
●リビア西部のRayaynaパイプラインについて
[
1] リビア西部の「Rayayna石油パイプライン」
(@)「アル・シャララ油田」と「ザーウィヤ」を結ぶパイプライン
(A)「アル・フィール油田」と「メリタ」石油施設を結ぶパイプライン
リビア東部では昨年1214日、ジンタンを拠点とする石油警護隊の武装グループがリビア西部の「Rayayna石油パイプライン」を再開したと発表した。そして、「アル・シャララ油田」と「ザ−ウィヤ」を結ぶパイプラインの再開を確認した。しかし、もう一つの「アル・フィール油田」と「メリタ」を結ぶパイプラインについては、少数部族が金銭要求をしていることで不透明になっている。
[2] リビア西部の油田と生産能力
「アル・シャララ油田「日量33万バレル」の生産能力 再開を確認
「アル・フィール油田」「日量9万バレル」の生産能力 未確認
「アル・シャララ油田」(日量33万バレル)と「ザーウィヤ」を結ぶパイプラインは昨年1220日に再開を確認し、「ザーウィヤ製油所」でも確認している。もう一つの「アル・フィール油田」(日量9万バレル)と「メリタ」を結ぶパイプラインについては、少数部族の金銭要求のために不透明になっている。リビア国営石油(NOC)は、「アル・フィール油田」を占拠していたグループによる金銭要求を「恐喝」として何度も拒絶しており、「アル・フィール油田」が操業しているのかどうか、その続報がないのでハッキリしたことは言えません。
[3] リビア西部の原油生産
「アル・シャララ油田」は、すでにパイプラインも油田も再開しているので、<リビア西部の洋上油田と合わせて日量50万バレルの原油生産>を地球する公算が大きい。直ちに目標になるわけではないが、リビア東部で日量90万バレル、リビア東部で日量50万バレルが展望できるようになればよい。
●米国の原油生産
米国も、リビアと同じように、ロシアとサウジアラビアが計画した減産に参加しない。米国の原油生産は昨年(2016625日〜71日にかけて「日量8428千バレル」に減少したが、年末12月には「879万〜876万バレル台」(+日量35万バレル)に増加した。今週のデータで、もう一度検証するつもりです。
●トランプ勝利後の米金利と為替
わが国の建値基準(=円貨)では「為替」が主要因です。わが国当業者にとって、もっとも頭を悩ませているのは「為替」(ドル円)だと思います。
(@) 当社では、米10年債利回り「2.452.50%」をメドにお伝えしてきました。
(A) 米大統領選でトランプ勝利後は、インフレ期待が拡大した。米大統領選後の米国債の利回り上昇は<行き過ぎている>と考えています。10年債利回り「2.50%」以上には抵抗があります。
(B) 金利と為替には相関があります。
為替(ドル円)は、日米の金利指標から乖離し、行き過ぎています。
<米国債の利回りと「ドル円」(東京仲値は三菱東京UFJ銀行)
米国債の利回り(%)     為替(ドル円)
米国日付  10年債  2年債  日本日付  東京仲値
01/03    2.45  1.22   01/04   117.96円
01/02    休み       01/03   休み
12/30    2.45  1.20   01/02   休み
12/29    2.49  1.22   12/30   116.49円
12/28    2.51  1.26   12/29   117.19円
12/27    2.57  1.28   12/28   117.68円
12/26    休み       12/27   117.45円
12/23    2.55  1.22   12/26   117.02円
12/22    2.55  1.22   12/23   休み
12/21    2.55  1.21   12/22   117.72円
12/20    2.57  1.25   12/21   117.94円
12/19    2.54  1.24   12/20   117.18円
12/17    2.60  1.28   12/19   117.63円
12/15    2.60  1.29   12/16   118.18円
12/14    2.54  1.27   12/15   117.72円
12/13    2.48  1.17   12/14   115.18円
12/12    2.49  1.15   12/13   115.04円
12/09    2.47  1.15   12/12   115.47円
12/08    2.40  1.12   12/09   114.27円
12/07    2.34  1.10   12/08   113.77円
12/06    2.39  1.12   12/07   114.18円
12/05    2.39  1.13   12/06   113.58円
12/02    2.40  1.11   12/05   113.81円
12/01    2.45  1.14   12/02   113.71円


リビア=Rayayanaパイプライン再開を確認!

20161221日(水曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3353
「リビア・オブザーバー」が「リビア現地1220日(火)午後1040」のニュースで伝えたところによれば、リビア国営石油(NOC)は西部内陸部の「アル・シャララ油田」(Al-Sharara)および「アル・フィール油田」(Al-Feel)から「2つのパイプラインの再開」を確認した。
2つのパイプライン
(@)「アル・シャララ油田」と「ザウィーヤ製油所」を結ぶパイプライン
(A)「アル・フィール油田」と「メリタ石油施設」を結ぶパイプライン
Rayaynaパイプライン再開とリビア西部の原油生産
[1] リビアは、東部地域だけでなく、西部地域にも油田と出荷ターミナルがある。西部の出荷ターミナルは「ザウィーヤ」と「メリタ」で、あわせて日量50万バレルの原油積み出し能力がある。さらに、洋上油田では2箇所のFPSOから合計日量20万バレルが出荷できる。したがって、フル稼働すれば、リビア西部地域だけで「日量70万バレル」の出荷能力になる。このリビア西部の基幹パイプラインは201411月以降、「ジンタン民兵」の支配下にあり、閉鎖されていたことで西部内陸部の原油生産が停止していた。
[2] 先週1214日(水)、 「Rayayana Patrols Brigade」を名のるジンタン民兵が「アル・シャララおよびアル・フィール油田と出荷ターミナルを結ぶパイプラインを再開した」と声明を出した。
[3] しかし、「前提条件なしでRayayanaパイプラインを再開した」という声明があったあとも、すぐにはパイプラインの再開が確認できなかった。リビア国営石油(NOC)は1217日(日)に(@)Rayayna石油パイプラインは再開していない、(A)このため「アル・シャララ」および「アル・フィール油田」の生産もおこなわないと述べた。
[4] リビア国営石油(NOC)は、リビア現地1220日(火)に「Rayayna石油パイプライン」の再開を確認した。リビア国営石油は「アル・シャララ油田」および「アル・フィール油田」から2つのパイプラインの再開を確認し、まず「日量+175,000バレル」が加わり、そのあと両油田の生産量が「日量27万バレル」に増加するとの見通しを述べた。現在のリビアの原油生産が「日量60万バレル」あたりなので、来年(20172-3月は「日量90万バレル」を目指す。リビア国営石油(NOC)は本年10月、「Rayayanaパイプライン」が再開すると「年末までに日量90万バレル」「2017年には同110万バレル」と展望していた。リビア東部やリビア西部の原油出荷が概ね正常化すると、リビアの原油生産はおおよそそのあたりなると思います。リビアは、サウジアラビアとロシアが計画した減産には参加しない
<リビアの原油生産
単位:日量平均/バレル
8月   9月   10月   11月   12月  12-1月   2-3月  3-6月
27万0千 36万0千 52万8千 57万5千 60万 → 77万5千 → 90万 → 110万

●当社の解説
1219日(月)に「Rayaynaパイプラインはまだ再開していない」とお伝えしたとき、「本年(201610月あたりからRayaynaパイプラインが焦点に浮上してきたのは、その背後に、リビア国営石油(NOC)と東西勢力とのあいだで何らかの取り決め、あるいは交渉があったことを示唆しており、それは継続している可能性が高いので、引き続き追跡する」と記しました。そして、今朝、リビア西部の「パイプライン再開」を確認したわけです。
[1] リビアのことは複雑怪奇ですが、しかし、ハッキリしていることがあります。それは、2011年に米欧の介入(NATOの空爆など)もあってカダフィー政権を崩壊させてから5年、2014年のトリポリからも2年が経過し、地域民兵などが群雄割拠して騒乱が続くと、それまでの蓄えも払底している。国家予算や外貨準備だけでなく、公務員給与に未払いが発生し、電力や燃料油供給が滞り、リビア通貨のディナールが下落し、食料品や生活必需品が高騰し、銀行からは必要なときに必要な現金を引き出せなくなった。国民生活は崩壊的危機に瀕し、とくにトリポリの治安が悪化した。
[2] トリポリの「国民合意政府」(GNA)をささえる「ミスラタ民兵」であっても、トブルクの「代表議会」(HoR)と連携するハフタル将軍(リビア国民軍)であっても、軍事組織を維持して戦闘を継続するには物凄いおカネがかかる。それぞれ政府を名のって組織を形成すれば、公務員給与を支給しなければならない。市民生活を改善するには「財政政策」や「金融政策」などが必要になる。リビア東部勢力でも、西部勢力であっても、石油収入を得るためには、石油施設の閉鎖を解除させなければならなくなっていた。
[3] リビアの複雑怪奇さは、リビア東部の石油施設は西部勢力を支持する組織が閉鎖し、西部の石油施設は東部勢力を支持する組織が閉鎖していたことにある。リビア東部の石油出荷ターミナルであるラス・ラヌーフ港などを支配下において閉鎖していたのは、西部勢力を支持する「石油施設警護隊」であった。一方、リビア西部で「Rayaynaパイプライン」を支配下において閉鎖していたのは、東部勢力と連携する「ジンタン民兵」であった。
<リビア東部
リビア東部では本年9月、東部主要3港を支配下におく「石油施設警護隊」に対して、ハフタル将軍が侵攻して「出荷施設の閉鎖」を解除した。このとき「石油施設警護隊」はほとんど抵抗せずに東部の石油出荷施設から撤退した。本年9月の東部出荷ターミナルの閉鎖解除によって、10月以降のリビア原油生産は「8月の2倍」に拡大した。
<リビア西部
リビア西部では本年10月以降、内陸部の油田から出荷ターミナルを結ぶ「Rayayna石油パイプライン」の閉鎖解除が焦点であった。本年9月以降は、東部勢力であれ、西部勢力であれ、リビア原油の生産と積み出しに協調し、石油施設の正常化を妨害することは止めるようになっていた。西部勢力の「国民合意政府」(GNA)でも、石油施設をめぐる衝突が発生したとき、石油施設への攻撃は指示していないと釈明するようになっていた。リビア東部の原油積み出し港に続いて、リビア西部のパイプラインが再開すると、2014年以来3年ぶりに、リビア全土で生産と出荷体制が平常化すると思います。
[4] 当社では、おおざっぱに以上のように考えています。リビアの原油生産は8月から10月に2倍になった。リビア国営石油は、リビアの原油生産が日量90万バレルに向けて増加すれば「現在の原油価格でリビアの2017年予算を+455,000万ドル増やす」と試算した。リビアの原油生産が来年(2017)に「本年10月=日量528千バレル」+「50万バレル」に増加すると、イタリアやフランス、スペイン向けにかなり回復する。リビアには複雑怪奇なところがあり、単純化することはできませんが、サウジアラビアとロシアが描いた「減産計画」に参加しない立場を貫いており、引き続きその動きを調べていきます。
●為替(ドル円)
わが国の建値基準では「為替」が主要因です。わが国当業者にとって、もっとも頭を悩ませているのは「為替」(ドル円)だと思います。現在がとても重要な局面だと思うので、細かく想定しながら臨みます。本日の予測レンジを「1ドル=118.50116.50円」としたのでは、範囲が広すぎて目安になりません。本日1221日(水)は「1ドル=117.70円」を目指したいと思います。


リビア=Rayayanaパイプライン(続)

20161219日(月曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3351
1216日(金)の「日報」で、「ジンタン民兵がリビア西部のアル・シャララ油田およびアル・フィール油田と石油積出ターミナルを結ぶ Rayayana石油パイプラインを再開した」とのニュースをお伝えしました。 しかし、1218日(日)のニュースでは、リビア国営石油(NOC)の話として、(@)「Rayayna石油パイプライン」は再開していない、(A)このため、「アル・シャララ油田」および「アル・フィール油田」の生産もおこなわないと述べた。
●パイプラインはまだ再開していない
[1] リビアの南西内陸部の「アル・シャララ」および「アル・フィール油田」で原油を生産するには、生産した原油を「出荷ターミナル」まで油送するパイプラインの再開が必要です。出荷ターミナルとパイプラインによって、油田の生産が可能になる。「パイプライン」はとても重要です。
[2] リビアは、サウジアラビアとロシアがまとめた「20171-6月の減産計画」に参加していない。リビアの原油生産は本年11月に「日量平均575千バレル」に増加したが、これを2倍に引き上げるためには、リビア南西の「アル・シャララ」および「アル・フィール油田」から「ザウィーヤ出荷ターミナル」に向けて「Rayayanaパイプライン」の再開が前提です。リビア国営石油会社(NOC)は「Rayayanaパイプライン」が再開すると、「年末までに日量90万バレル」「2017年には同110万バレル」と展望していた。
[3] ハフタル将軍を支持する「ジンタン民兵」は、2014年の戦いで「リビアの暁」に負けてトリポリを撤退したあと、これらの原油が「資金源」にならないように「Rayayna石油パイプライン」を2年間にわたって閉鎖してきた。それが、先週1214日「前提条件なしに再開した」という声明を出した。リビア東部勢力のハフタル将軍やトブルク議会は、国連が作ろうとしてきた「国民合意政府」(GNA)に対抗して、このかんロシアを訪問するなどロシアに接近している。ハフタル将軍は先週「トリポリに対する戦争」を呼びかけた。こうした動きと、ジンタン民兵の「パイプライン再開」がどのように関連するのかよくわからない。リビアのことは複雑怪奇です。そして、1218日(日)のニュースでは「パイプラインは再開していない」とのことであった。リビア国営石油(NOC)の話として、(@)Rayayna石油パイプラインは再開していない、(A)このため、「アル・シャララ」および「アル・フィール油田」の原油生産もおこなわないと述べた。
[4] しかし、本年10月あたりから「Rayayna石油パイプライン」が当面の焦点に浮上してきたのは、その背後に、リビア国営石油(NOC)と東西勢力とのあいだで何らかの取り決め、あるいは交渉があったことを示唆しており、それは継続している可能性が高い。リビア東部では「代表議会」(HoR)と政府、リビア西部にも「国民合意政府」(GNA)があり、さらに「国民議会」(GNA)まで「復活」したが、いずれの勢力も国営石油(NOC)によるおカネを必要としているように思います。当社「日報」では「Rayayanaパイプライン」は再開に動く考えているので、引き続き追跡します。来年(2017)のリビアの原油生産を左右します。


リビア=Rayayanaパイプライン再開

20161216日(金曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3350
昨日1215日(木)の午後には、リビアに関するニュースがあり、わが国石油連盟の定例記者会見もあった。リビアからお伝えします。
●リビア
北アフリカのリビアは、今回のサウジアラビアとロシアの「減産計画」に参加していない。928日の「アルジェ合意」から1130日「定例総会」において、リビアは「適用除外国」になっています。リビアやナイジェリア、そしてイランには生産削減の割当はありません。
<リビアの原油生産(日量平均/バレル)
OPECの「secondary sources」によれば、リビアの原油生産は、以下のように推移しています。
8月    9月    10月    11月
27万0千
  36万0千   52万8千  57万5千

<ジンタン民兵がRayayanaパイプラインを再開
そして、昨日
1215日(木)には「ジンタン民兵がリビア西部のアル・シャララ油田およびアル・フィール油田と石油積出ターミナルを結ぶ Rayayana石油パイプラインを再開した」とのニュースがあった。
[1] リビア南西の内陸部の「アル・シャララ(Al-Sharara)油田」および「アル・フィール(Al-Feel)油田」から「ザウィーヤ出荷ターミナル」に向けてパイプラインが再開すると「日量+30万バレル」の増加が期待できるようになる。仮に、サウジアラビアが「20171-6月=日量-50万バレルの削減」を実施しても、リビアで「同+30万バレル増加」に道をひらくなら、リビアから南欧向けや中国向けに原油が供給される。リビア国営石油会社(NOC)はRayayanaパイプライン再開で「2016年末までに日量90万バレル」「2017年には同110万バレル」を展望している。
[2] パイプライン再開の記事は短いもので、詳細は報じていない。その要旨を記します。「ジンタン民兵が2年間停止していたRayayana石油パイプラインを再開」(The Libya Observer, 20161214日)ジンタンを拠点とする石油警護隊の武装グループ(自称 Rayayana Patrols Brigade)は1214日(水)、西部のハフタル将軍の指示を受けて「Rayayna石油パイプライン」を再開した。「Rayaynaパイプライン」は、リビア西部の「アル・シャララ油田」および「アル・フィール油田」から石油積出ターミナルを結ぶ。東部のハフタル将軍と連携しているジンタン民兵は「リビアの暁」に負けてトリポリから撤退したあと、2014年終わりから2年間にわたって「Rayayna石油パイプライン」を閉鎖してきた。石油を「トリポリ政府」の資金源にさせないためであった。リビア国営石油(NOC)は本年10月、民兵に対し「パイプライン閉鎖でリビアに270億ドルの損失を出させた」と訴訟を起こした。会計検査院の総長Khalid Shakshak 11月、「Rayayna石油パイプラインと原油供給の再開はリビアの経済危機の70%を解決する」とテレビ・インタビューで述べていた。
<プラッツ社の記事
プラッツ社も1215日、「Rayayana石油パイプラインの再開」追認した。
New York (Platts)--15 Dec 2016 553 pm EST/2253 GMT
Another headwind for oil prices Thursday was the reopening of a major crude pipeline in Libya, which could pave the way for more production.
An armed group called the Rayayna Patrols Brigade reopened a pipeline on Wednesday that connects the Sharara and El Fil oil fields in southwest Libya that had been shut for two years.
Sharara was pumping close to 300,000 b/d before it was closed in late 2014, and the 130,000 b/d El Fil oil field has been closed since April 2015.
Libyan output stands below 600,000 b/d, compared with pre-civil war levels of roughly 1.5 million b/d.
OPEC members agreed November 30 to lower collective output 1.2 million b/d, but exempted Nigeria and Libya. Non-OPEC members pledged December 10 to make additional cuts totaling nearly 600,000 b/d.
Market participants have been eying developments in Libya and Nigeria closely, as signs of recovery could undercut the effectiveness of the OPEC-led reduction agreement.

※ ただ、リビアのことは外から見ていると複雑怪奇で、何がどうなっているのかわからなくなるときがあります。実際にパイプラインの再開を確認し、積み出しの増加を見る必要があります。


マレーシア=「Malikai Tension-Leg Platform」生産開始

20161215日(木曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3349
石油、穀物、為替(金利)、海上運賃などで、解明しなければならない問題はたくさんあります。しかし、これらの問題はひとつひとつ片付けていかなければならない。いっぺんに飛び越えることはできません。「どんな目的であれ、それを達成したいなら、一度に一歩進むことだ。その通り、一度に一歩。そして、また一歩、さらに一歩。」 昨日1214日は、マレーシアとロシアに関するニュースがあったので、それをまず「石油-2」でお伝えし、米国の原油増産については「石油-3」でわかりやすく表示します。
●マレーシア
[1] 東南アジアの産油国には、それぞれ国有石油会社があり、インドネシアの「プルタミナ」(Pertamina)、マレーシアの「ペトロナス」(Petronas)はよく知られている。とくに、マレーシアの国有石油会社「ペトロナス」はアフリカや中東、さらにカナダで積極投資を続けており、国外での探鉱・開発によって収益を拡大させてきた。マレーシアが1210日の非OPECの減産協議で「20171-6月=日量-2万バレル」の減産を表明したとしても、マレーシアの「ペトロナス」が海外での探鉱・開発や資産買収を止めるわけではない。マレーシア国内の探鉱・開発が成熟し、マレーシア国内の埋蔵量に限界がある以上、「ペトロナス」は海外で探鉱・開発・生産を強化する。
[2] マレーシアと言えば、タピス(Tapis)油田が有名だが、その生産量は1980年代に日量7万バレルを超えたあと、現在では「同3万バレル」あたりと言われる。タピス油田など東マレーシア(ボルネオ島北部)の既存生産油田は自然減退によって生産量が伸び悩んでおり、EOR/IOR(改良型採収法)で生産を続けている。一方、サバ/サラワク両州沖合にまたがる統合開発プロジェクト(Sabah-Sarawak Integrated Oil and Gas Projects) では昨日1214日(水)、シェルがサバ州沖合100kmにある「Malikai Tension-Leg Platform」の生産開始を発表した。その生産能力はピークで「日量6万バレル」を見込む。「Malikai油田」は、「Kikeh」「Siakap-North Petai」そして「Gumusut Kakap」に続く4番目の深海プロジェクトです。
Malikaiプロジェクトの出資構成
シェル         35%
コノコフィリップス   35%
Petronas Charigali   30%

Petronas Charigaliは「ペトロナス」で探鉱・生産の実務をおこなう100%子会社
[3] マレーシアは1210日の非OPECの減産協議で「20171-6月=日量-2万バレル」の減産を表明したが、この数字は「タピス油田」など、ボルネオ島北部の「既存油田の自然減退」だけを提示していると思います。マレーシアの国有石油会社「ペトロナス」は、国外における探鉱・開発・生産事業を止めるわけではない。アフリカ、中東、オセアニア、中南米、さらにカナダで探鉱・生産の積極投資を続ける。そして、マレーシア国内では、昨日のシェルの「Malikai Tension-Leg Platform」の生産開始に見るように、サバ/サラワク両州沖合の探鉱・開発が続く。
●ロシア
昨日14日(水)は、シェルがマレーシアのサバ州沖合「Malikai Tension-Leg Platform」の生産開始を発表しただけではない。わが国JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)も「ロシア連邦イルクーツク州での石油探鉱事業の一部油田における開発・生産段階移行」を公表した。JOGMECが発表した文書は下記の通り。
JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:黒木啓介)探鉱出資対象企業の日本南サハ石油(株)(以下「JASSOC」)が株主として参加しているアイエヌケー・ザパド社(ロシア法人)が実施中のロシア連邦イルクーツク州における石油探鉱事業のうち、ザパドナ・ヤラクチンスキー鉱区内のイチョディンスコエ油田において油ガスの商業的埋蔵量が確認され、開発・生産段階に移行することとなりました。
JOGMECは、20031月の日露首脳会談で採択された「日露行動計画」、その後、20076月の日露首脳会談で提案された「極東・東シベリア地域での日露間協力強化に関するイニシアティブ」に基づき、極東・東シベリア地域における日露両国の協力促進の一環として、ロシアの石油会社イルクーツク石油(以下「INK社」)との共同事業により、20095月にザパドナ・ヤラクチンスキー鉱区およびボルシェチルスキー鉱区における地質構造調査事業を開始しました。本調査において複数の鉱床で炭化水素の胚胎を確認する等良好な結果が得られたため、2013年にJASSOCの一部株式(25%)を伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠」)および国際石油開発帝石株式会社(以下「INPEX」)に譲渡し、ザパドナ・ヤラクチンスキー鉱区およびボルシェチルスキー鉱区における探鉱・評価作業を出資対象事業として支援してきました。
「本事業では、これまでの探鉱・評価作業により炭化水素の胚胎を確認したザパドナ・ヤラクチンスキー鉱区内のイチョディンスコエ油田において、精度の高い埋蔵量評価を目的とした長期生産テストを実施し、その結果、商業的生産に十分な埋蔵量を確認しました。これにより、INK社およびJASSOCは同油田において開発・生産段階へ移行することを決定し、ロシア政府からも2016年末までに承認を取得できる見込みです。今後、イチョディンスコエ油田から産出される原油は、東シベリア・太平洋石油パイプライン(ESPO)を経由して主にロシア極東コズミノ港から日本をはじめとするアジア市場へも輸出される見込みです。
●米国
米国の原油生産は「6/25-7/01=日量平均8428千バレル」から「12/03-12/09=同8796千バレル」になった。サウジアラビアとロシアが「減産計画」の数字合わせに熱中しているあいだに、米国の原油生産は1日あたり+368千バレル増加した。下記の数字を見れば、米国で何が進行しているのか、よくわかると思います。
<米国の原油需給
出所: 米エネルギー省/EIA
単位: 1日あたりバレル
週    米国原油生産 原油輸入 供給合計 原油処理量 原油輸出 需要合計
12/03-12/09 879万6千 736万0千 1615万6千  1647万4千 48万5千 1695万9千
11/26-12/02 869万7千 830万3千 1700万0千  1641万7千 49万9千 1691万6千
11/19-11/25 869万9千 754万8千 1624万7千  1628万3千 47万4千 1675万7千
11/12-11/18 869万0千 757万8千 1626万8千  1639万7千 46万9千 1686万6千
11/05-11/11 868万1千 842万3千 1710万4千  1612万6千 41万0千 1660万7千
10/29-11/04 869万2千 744万2千 1613万4千  1581万7千 41万0千 1622万7千
10/22-10/28 852万2千 899万5千 1751万7千  1544万8千 40万4千 1585万2千
10/15-10/21 850万4千 701万6千 1552万0千  1555万2千 41万5千 1596万7千
10/08-10/14 846万4千 690万7千 1537万1千  1537万0千 43万9千 1580万9千
10/01-10/07 845万0千 786万1千 1631万1千  1555万2千 48万1千 1603万3千
09/24-09/30 846万7千 771万0千 1617万7千  1603万2千 44万0千 1647万2千
09/17-09/23 849万7千 783万5千 1633万2千  1633万4千 50万7千 1684万1千
09/10-09/16 851万2千 830万9千 1682万1千  1658万7千 58万8千 1717万5千
09/03-09/09 849万3千 806万2千 1655万5千  1673万0千 41万8千 1714万8千
08/27-09/02 845万8千 706万9千 1552万7千  1693万0千 50万1千 1743万1千
08/20-08/26 848万8千 891万7千 1740万5千  1661万5千 69万8千 1731万3千
08/13-08/19 854万8千 864万2千 1719万0千  1667万9千 67万7千 1735万6千
08/06-08/12 859万7千 819万3千 1679万0千  1686万5千 67万7千 1754万2千
07/30-08/05 844万5千 840万4千 1684万9千  1659万7千 67万7千 1727万4千
07/23-07/29 846万0千 873万8千 1719万8千  1685万2千 67万7千 1752万9千
07/16-07/22 851万5千 843万7千 1695万2千  1658万6千 67万7千 1726万3千
07/09-07/15 849万4千 813万4千 1662万8千  1686万3千 59万8千 1746万1千
07/02-07/08 848万5千 784万1千 1632万6千  1654万4千 59万8千 1714万2千
06/25-07/01 842万8千 836万3千 1679万1千  1668万7千 59万8千 1728万5千

<米国の
1日あたりカナダ原油の輸入量(単位:バレル)
おおざっぱに言って、米国の原油輸入の半分はカナダ原油が占める。非在来型原油は、米国の「シェールオイル」(タイト・オイル)だけでなく、カナダでは「サンド・オイル」の開発が進展してきたので、米国とカナダの<北米の生産と貿易>の比率が上昇した。2000年代の国際需給とはまったく異なっており、もとには戻りません。
<米国の原油在庫
<米国の1日あたりガソリン輸入量
<米国のガソリン在庫
<米国の中間留分在庫(ジェット燃料を除く)


当社の立場について

20161214日(水曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3348
[1] 振り返って、いわゆる「アラブの春」以降、リビアやエジプトの北アフリカやイラク、シリア、サウジアラビア、イエメンなど中東情勢を毎日見てきたので、「協定」とか「協議」に重きを置いた考え方はできません。シリアなどで典型的なように、一方で、停戦協議をしながら、他方で、空爆を強化して軍事的制圧を目指してきた。
[2] サウジアラビアの「ムハンマド・サルマーン副皇太子」について、株式市場では「ビジョン2030」や「サウジアラムコの上場計画」などを評価する声が多いが、当社では、昨年春からのイエメン介入やイランとの対立で、イランの老獪(ろうかい)さに太刀打ちできていないのを見て「危ないナ」と感じてきました。このため、サウジアラビアがロシアとのあいだでまとめた「減産計画」についても、<サウジアラビアには詰めの甘さがある>という視点で分析しています。
[3] 今回のOPECおよび非OPECの「減産計画」には、米国、カナダ、ノルウェー、英国、ブラジル、中国などは参加していない。OPEC加盟国であるリビア、ナイジェリアも減産に参加していない。イランは「20171-6月=日量3797千バレル」まで増産できる。
[4] 今回の「減産計画」には「既存生産油田の自然減退」や「メンテナンス」が含まれている。
[5] サウジアラビアは、米国のシェール・オイルやカナダのオイル・サンドについて、その能力を過少評価している。
われわれの世界では停戦協議をしながら、その一方で、空爆を強化して軍事的制圧を目指す。石油市場でも、減産協議をしながら、産油国は生産能力の拡張を目指し、生産高を史上最高水準に引き上げて市場シェアを争う。いかによく練られた「協定」や「協議」であっても、基本的に<最終的な制圧に向けた時間稼ぎ>です。それによって「安寧を得る」と展望するのは非現実的です。サウジアラビアのムハンマド・サルマーン副皇太子には<詰めの甘さ>を感じてきたので、サウジアラビアとロシアの「減産計画」についても、その観点から分析しています。


自然減退とメンテナンスを含む「減産」

20161213日(火曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3347
[1] サウジアラビアとロシアは、1130日のOPEC総会で「201711日からOPEC加盟国の減産=日量-120万バレル」「非OPECの減産=日量-60万バレル」(そのうちロシア-30万バレル)という枠組みを決めた。そのあと、1210日の非OPEC会合で「ロシア以外の非OPEC-30万バレル」の国別割当てを協議した。1210日の非OPEC会合であきらかになったのは、この「ロシア以外の-258千バレル」だけです。
[2] ロイターやブルームバーグなど多くのメディアは、週末1210日の非OPEC会合について「-558千バレルの減産」と伝えた。たしかに、それは間違ってはいないが、しかし、正確ではない。ロシアが「20171-6月に日量-30万バレルの減産」をすることは、1130日のOPEC総会であきらかになっていた。すでに、あきらかなものを「1130日」と「1210日」、2度にわたってカウントすることはできません。なぜ、こうしたことに拘泥(こだわる)かと言えば、屋上屋を架すような<錯覚>を避けるためです。
[3] 「ロシアの-30万バレルの減産」は1130日に公表されており、週末1210日の会合では「ロシア以外の非OPECの減産内訳」が協議された。したがって、1210日にあたらしく明らかになったのは「-258千バレル」だけであった。サウジアラビアとロシアは、今回の減産計画について、少ない数字を大きく見せる工夫(くふう)をしており、既存生産油田の自然減退やメンテナンスも「減産」にカウントしており、細部に詰めの甘さを残している。現在、わかっていることを具体的に記しておこうと思います。
●メキシコ
昨日の「日報」で、メキシコの自然減退「-10万バレル」、アゼルバイジャンのメンテナンス「-35千バレル」などをお伝えしました。もういちど記します。
[1] メキシコは1210日の非OPEC会合で「20171-6月=日量-10万バレルの減産」を明らかにしたが、それは既存生産油田の自然減退によるもので、それは今回の「減産合意」があろうとなかろうと減少していた数字です。メキシコ国営石油会社(Pemex)は、メキシコ南部の大深海油田の開発に向かっているが、それには資金と技術を必要とします。
[
2] プラッツ社は、メキシコの原油生産について、本年(201610月が「日量2103千バレル」、来年(2017)は「日量1944千バレル」に減少すると記していた。メキシコの原油生産は来年に「本年10月水準から-159千バレル減少する見込み」であった。OPECでも「1112日発表の月例リポート」でメキシコの生産減少を予想し、「来年(2017)は190万バレル強」と記していた。メキシコの原油生産は2004年をピークに既存油田の減退が続き、「2017年は日量190バレル台」に低下することは周知のことであった。メキシコ国営石油会社(Pemex)は、メキシコ南部の大深海油田の開発に向かっている。
[3] 今回のサウジアラビアとロシアの減産計画は、メキシコの既存油田の自然減退を「減産」にカウントした。そのことは、それ以外の産油国でも「既存生産油田の自然減退」を「減産」に加えて数字を作っている可能性が高い。
●アゼルバイジャン
[1] アゼルバイジャンは1210日の非OPEC会合で「20171-6月=日量-35千バレル」の減産と公表された。しかし、アゼルバイジャンでは2017年に「Deepwater Guneshli鉱区」のメンテナンスを予定しており、それを「減産」にカウントした可能性が高い。
[2] アゼルバイジャンのカスピ海沖合いに「Azeri, Chirag, Deepwater GunashliACG)鉱区」があり、本年(201611月中も「East Azeri platform」が停止しており、以前から「heavy maintenance at the Deepwater Guneshli platform」と伝えられていた。メンテナンスは「減産」ではありません。
●カザフスタン

1210日の非OPEC会合で「カザフスタンが日量-2万バレルの減産」と公表されたとき、当社「日報」では<驚いた>と記しました。カザフスタンは本年(201610-12月から増産計画が目白押しだからです。来年(2017)のカザフスタンの原油生産が「本年(20167-9月以下」になるとは考えにくい。
Tengiz油田
カザフスタンには世界有数の油田がある。「Tengiz油田」は、カスピ海東沿いの湿地帯にあるカザフスタン最大の油田で、1993年から生産を始めた。その開発と操業を担っているのはTengizchevroil社です。本年(201675日には「Tengiz油田」の拡張計画を発表した。2022年に向けて、日量+26万バレル増、日量100万バレルの油田になる。
Tengizchevroil社の出資構成  
シェブロン        50%
エクソンモービル     25%
KazmunayGas        20% 
カザフスタンの国営企業
LukArco          5% 
ロシアのルークオイルの子会社
Kashagan油田
カスピ海北部の水深34mの海洋油田で、上に記した「Tengiz油田」のように大きな油田です。2013年に生産を開始した。大量に高濃度の硫化水素ガスを含み、トラブルが多い。Kashagan油田は、北カスピ海生産物分与協定に基づき、North Caspian Operating Company社(NCOC)によって開発されています。
North Caspian Operating Company社の出資構成
エニ(Eni)       16.8% イタリアの石油会社
KazmunayGas       16.8% 
カザフスタンの国営企業
シェル         16.8%
エクソンモービル    16.8%
トタル(Total)     16.8% 
フランスの石油会社
中国石油天然ガス集団公司 8.4%
国際石油開発帝石     7.56%

<メンテナンス
[1] カザフスタンの原油生産は本年(20167-9月に減少した。カザフスタン最大の「Tengiz油田」がメンテナンスと伝えられた。そのメンテナンスも終わったので、10-12月は「Tengiz油田」がフル生産に復帰し、生産増が期待されています。
[2] 「Kashagan油田」は大量に高濃度の硫化水素ガスを含むのでトラブルが多いが、生産能力の3倍化計画があり、来年(2017)のカザフスタンの原油生産は「日量177万バレルに増加する」との観測がある。
[3] 1210日の非OPEC会合では、カザフスタンの原油生産について、「本年10月=日量170万バレル」から「同-2万バレルの減産」と発表された。「20171-6月=同168万バレル」という数字が示されたが、同国主力油田の「Tengiz油田」のメンテナンス終了とフル生産へ復帰、さらに拡張計画、「Kashagan油田」の3倍化計画など、「2017年の原油生産=日量177万バレル予想」と乖離している。シェブロンやエクソンモービルも拡張計画に参加しているので、当社としては、カザフスタンが「減産計画」を実施するとは考えにくい。ひとつひとつ、具体的に細部まで見なければならないと考えています。


1210日の非OPEC減産計画について

20161212日(月曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3346
OPECおよび非OPECの「減産計画」
わかっていることを記します。
(@)サウジアラビアなど「石油輸出国機構」(OPEC)とロシアなど「非OPEC」は、本年一年間をかけて「減産計画」を論議し、1130日〜1210日にそれぞれの計画を公表した。
(A)この「OPEC」および「非OPEC」の減産計画には、米国、カナダ、ノルウェー、英国、ブラジル、中国などは参加していない。OPEC加盟国であるリビア、ナイジェリアも参加しておらず、イランは「20171-6月に日量379万7千バレル」まで増産できる。インドネシアも参加せず、加盟資格停止となった。
(B)OPECも非OPECも、10-11月の増産が続いている。このため各国別の「減産計画の内訳」は不透明なところを残しています。それと同時に、メキシコでは「メキシコ国営石油会社」(Pemex)の既存生産油田が自然減退によって閉鎖され、メキシコ南部の「大水深油田」の開発などに移行している時期にあたる。メキシコの原油生産が2004年のピークから来年(2017)も減少することは、今回の減産協議とはかかわりなく、周知のことであったので、それを「減産」に加えることはフェアではない。旧ソ連のアゼルバイジャンでも、2017年は前もって「メンテナンス」(heavy maintenance at the Deepwater Guneshli platform)が予定されていたので、メンテナンスを「減産」に加えることもフェアではない。これらの点を記しておこうと思います。
OPECの生産と減産計画
OPEC全体の原油生産は「secondary sources」に基づくと、以下のように推移している。11月はアンゴラ・デルタのメンテナンスが終了したことでアンゴラの原油生産が回復し、OPEC全体の生産量をさらに押し上げた。サウジアラビアとロシアはここ1年、「減産計画」を論議してきたが、実際の現実は「史上最高水準」に増産が進展した。
OPECの原油生産 based on secondary sources
2016年      11月  日量平均 3,386万  バレル ※プラッツ推定
2016年      10月  日量平均 3,364万3千バレル
2016年       9月  日量平均 3,340万7千バレル
2016年       8月  日量平均 3,322万7千バレル
2016年第3四半期(7-9月) 日量平均 3,327万9千バレル
2016年第2四半期(4-6月) 日量平均 3,276万4千バレル
2016年第1四半期(1-3月) 日量平均 3,250万0千バレル

OPEC加盟国の各国別原油生産 based on secondary sources
OPEC加盟国     8月生産  9月生産  10月生産  11月推定  減産計画
サウジアラビア  1060万3千 1058万3千 1053万2千  1052万 → 1005万8千
イラク      437万5千  447万2千  456万1千  456万 → 435万1千
イラン      364万7千  366万3千  369万0千  369万 → 379万7千
アラブ首長国連邦 297万6千  299万3千  300万7千     → 287万4千
クウェート    281万0千  282万5千  283万8千     → 270万7千
カタール      65万7千   64万0千   64万6千
アンゴラ     178万6千  175万1千  158万6千  170万 → 167万3千
ナイジェリア   141万9千  145万8千  162万8千  168万 → 適用除外
リビア       27万0千   36万0千   52万8千   58万 → 適用除外
アルジェリア   108万8千  108万6千  108万8千
ガボン       22万1千   21万2千   20万2千
ベネズエラ    210万7千  209万0千  206万7千  207万
エクアドル     54万3千   55万0千   54万9千
インドネシア    72万6千   72万4千   72万2千      加盟資格停止
OPEC合計     3322万7千 3340万7千 3364万3千  3386万 → 3250万0千
(@) OPECの「減産計画」は201711日から発効する。イランは増産、リビア、ナイジェリアは適用除外となった。
(A) 11月生産は「プラッツ社」の推定によるもの。11月はアンゴラのメンテナンスが終了し、アンゴラ・デルタの生産量(日量20万〜25万バレル)が回復したことで、OPEC加盟国の生産量が「日量3,386万バレル」に増加した。
(B) OPECの「11-12月生産」が「日量3,386万バレル」に増加している場合、サウジアラビアは「日量1,000万バレル以下」に減産しなければならない。サウジアラビアが一手に背負って減産しなければ、「日量3,250万バレル」へ削減することは難しい。
●非OPECの生産と減産計画
「非OPEC」の減産計画には、米国、カナダ、ノルウェー、英国、ブラジル、中国などは参加していない。つまり、20142016年の原油価格の変動を引き起こしたのは「米国のシェール・オイル」(タイト・オイル)と「カナダのオイル・サンド」という非在来型原油の増産であったが、これら非在来型原油は「減産計画」に参加していない。そして、非OPECの国別原油生産についても、OPECと同じように正確な数字はありません。
<非OPECの減産計画
非OPEC         10月生産    減産割当  2017年6月末
ロシア         1,124万7千   -30万  → 1,084万7千
カザフスタン       170万     -2万  →  168万
アゼルバイジャン      80万     -3万5千 →   76万5千
メキシコ         210万     -10万  →  200万
オマーン         100万     -4万5千 →   95万5千
バーレーン         20万     -1万  →   19万
マレーシア         70万     -2万  →   68万
ブルネイ          10万       4千 →   8万8千
スーダン          10万       4千 →   9万6千
南スーダン         10万       8千 →   9万2千
赤道ギニア         20万     -1万2千 →   18万8千
合計                日量 -55万8千バレル
<ロシア
ロシアの「日量-30万バレルの減産」は、1130日のOPEC定例総会のとき公表されていた。「OPEC全体で日量-120万バレルの減産」「非OPECで日量-60万バレルの減産」(そのうちロシアが-30万バレル)という枠組みであった。
[1] しかし、ロシアが201711日から「-30万バレル」減産するわけではない。20171-3月は、まず「-5万」「-10万」とカットし、3月末までに「-20万バレル」を削減して「日量1,0947千バレル」とし、そのあと20176月末までにさらに「-10万バレル」カットして「同1,0847千バレル」という行程表になる。その意味では、仮にロシアが「減産」に協調するとしても、それを検証できるのは来年3月あたりになる。
[2] ロシアは「本年(201610-11月」の原油生産を史上最高水準に引き上げてた。それを「-5万」「-10万」と削減して来年(20173月末までに「-20万」、さらに6月末までに「-10万」という約束です。ロシアは「2017年の増産計画」もあったので、メンテナンスに入る油田や増産の油田を組み合わせて、数字を作るのだろうと思います。
<オマーン
オマーンは1210日の非OPECの合意で「日量-45,000バレルの削減」と伝えられた。
<アゼルバイジャン
アゼルバイジャンも1210日の非OPEC会合で「日量-35千バレル」の減産計画が伝えられたが、しかし、アゼルバイジャンの場合、2017年に「Deepwater Guneshli鉱区」のメンテナンスを予定しており、メンテナンスを「減産」と称している可能性が高い。アゼルバイジャンのカスピ海沖合いに「Azeri, Chirag, Deepwater GunashliACG)鉱区」があり、以前から「heavy maintenance at the Deepwater Guneshli platform」と伝えられていたので、それを「来年(20171-6月の減産」にカウントしている。
<カザフスタン
カザフスタンは原油増産に邁進している。「Tengiz field」はメンテナンスが終了したあと「これからフル生産に復帰する」と伝えられていたので、「2017年の日量-2万バレル」の協調減産は驚きでした。ただ・・・「日量1万バレル」とか「同2万バレル」の減産を検証するのは難しいと思います。
<メキシコ
メキシコは1210日の非OPEC合意で「日量-10万バレルの減産」を明らかにしたが、それは既存油田の減退による閉鎖で、2004年のピークから続いている自然減退の延長です。メキシコでは既存油田の生産が急減しているからです。メキシコ国営石油会社(Pemex)は、メキシコ南部の大深海油田の開発に向かっているが、それには資金と技術を必要とします。

メキシコは中南米で、ベネズエラやブラジルに次ぐ産油国ですがすでに「日量210万バレル」あたりに減少しており、さらに来年(2017)も「同190万バレル台に減少する」と観測されているので、今回の「-10万バレル減産」はそうした自然減退の追認を意味するにすぎない。

ロシアとサウジアラビアは「非OPEC全体で日量-60万バレルの減産」を目指していたが、アゼルバイジャンのメンテナンスやメキシコの自然減退などを「減産」にカウントしている。そんなことは、OPECおよび非OPECが減産しようとしまいと前からわかっていたことです。
1130日〜1210日について
(@) 1130日の合意では、サウジアラビアなどOPEC加盟国が「201711日から日量-120万バレルの減産」を実施し、ロシアは「日量-30万バレルの減産」に踏み出し、「合計で-150万バレルの減産計画」を示した。そして。1210日の非OPECで「残り-30万バレルを詰める」というものであった。
(A) そして、1210日の非OPEC会合で「残り-30万バレル」の内、「-258千バレルの国別内訳」を策定した。
ロシアが来年(20171月から、日量-5万、さらに同-10万と段階的に減産を実施し、20176月末までに「同-30万バレル」の減産に向かう計画は、1130日に示されていた。したがって、週末1210日の非OPEC会合で「ロシアの減産計画」がはじめて明らかになったわけではない。「OPEC -120万+ロシア -30万=-150万バレル」は1130日の計画で公表されていた。
(B) 1210日の非OPEC会合で、ロシアを除いた「-30万バレル」の内、「-258千バレル」の内訳が示されたが、その半分以上は<既存油田の自然減退>と<メンテナンス>が占めた。キシコの「日量-10万バレルの削減」は、2004年から続いている既存油田の自然減退であり、アゼルバイジャンの「日量-35千バレル」は「カスピ海のDeepwater Guneshli鉱区のメンテナンス」の可能性が高い。それを除くと、1210日の非OPEC会合で合意した<真水の減産計画>は、オマーンなどを合計した「-10万バレル程度」にすぎない。
(C) ロシアやその他産油国の多くは「増産計画を維持」しながら、「既存油田の自然減退」や「メンテナンス」を組み合わせて、「減産の数字」を作っている。「OPEC -120万+ロシア -30万=合計 -150万」は1130日に発表されていたので、1210日の非OPEC会合の<真水=メキシコやアゼルバイジャンなどを除いた本物の減産>は「-10万バレル程度」に過ぎない。それを「屋上屋を架す」ように買うことはない。


低成長と低インフレ下の原油相場

2016829日(月曜日) 「市況研究社日報」(石油)第3275
週末の原油相場は、イエレンFRB議長のジャクソンホールの講演開始後に高下した。金融市場の投資資金は、原油や石油製品などのファンダメンタルズよりも、金利や為替、株価など、おおざっぱな「グローバル・マクロ」風の材料が好きなのかもしれない。彼らは常に「新奇なもの」を求めて右往左往しているので、先週は「イエレン議長のジャクソンホール講演」、今週は「米雇用統計」を材料に、目の前の印象を過大評価するのだろうと思います。しかし、当社では、こうした金融市場の投資資金とは別の道を歩んでいます。
2014年以降、ここ3年間の当社の基本姿勢
昨年(2015)の相場でも、以下の点を繰り返しお伝えしてきました。そして、それは本年(2016)も継続しています。
(@) わが国だけでなく、欧州でも米国でも潜在成長率が低下しており、インフレ圧力が抑制されているので、かつての金利水準に回帰することはない。米連邦準備制度の金融政策調整でも、考えられる将来について、現状の金融抑圧=超低金利が続く公算が大きい。
(A) 「米景気の回復で米金利がかつての水準に上昇する」という思惑から、法外な日米金利差の拡大を展望するのはバランスを欠いている。当社では、現状の為替水準について、<行き過ぎた円安>とみなしてその是正を追求します。現状の外為市場におけるドル円は、金利指標から乖離している。「黒田日銀の異次元緩和」によって進行した<コスト・プッシュ型の円安による物価上昇>には同調できない。<行き過ぎた円安の是正>は、追求できるタイミングで何度でも追求するつもりです。
(B) 先進国の<潜在成長率低下>と<低インフレ>だけでなく、<中国経済の成長減速>を含めて検討すれば、コモディティ価格には下押し圧力がかかる。かつてのような「コモディティ・バブル」や「資源エネルギー・ブーム」を買う情勢ではない。当社では<あたらしい標準=ニュー・ノーマル>への移行を追求します。
●低成長と低インフレ下の原油市場
当社では、先進国の潜在成長率の低下による<低成長>と<低インフレ>の下で、金利市場、通貨市場、原油などコモディティ市場を分析し、<あたらしい標準>を追求します。
[1] 日本や欧州だけでなく、米国も含めて先進国の潜在成長率が低下し、インフレ圧力が抑制されている中で、「1ドル=125円」の為替レートを正当化する<日米金利差>はありません。昨年12月から<日米2年債利回り格差>から推定して「95円」あたりまで正常化の範囲と考えて、第1段階、第2段階、そして現在「10595円」の第3段階をお伝えしています。
[2] 同じ意味において、先進国の<低成長>と<低インフレ>は、その金融政策のフレームワークを規定しています。それが、週末の<ジャクソンホール>の大きなテーマで、イエレンFRB議長はその脈絡のなかで「金融政策のツール」について講演した。週末のジャクソンホールのテーマは、<低成長と低インフレ下の金融政策>であった。
[3] われわれの場合、<低成長と低インフレ下の外為市場>
<低成長と低インフレ下の原油市場>
<低成長と低インフレ下のコモディティ市場>がテーマになる。

そのなかで、<あたらしい標準>を追求しなければならない。週末のイエレン議長の講演について、市場でさまざまな「解釈」がありますが、当社の考え方に最も近いものとして「日本経済新聞」の河浪武史氏の記事を紹介します。
<「日本経済新聞」河浪武史氏の記事
[4] 石油でも、穀物でも、そして、為替(ドル円)でも、822日(月)〜99日(金)の3週間は、売り買い双方の攻防をとおして<本年後半のテーマと方向>を闘い取っていく時期になります。<あたらしい標準>の売りの目標が達成できればよいと考えています。一気呵成(いっきかせい)に進むのではなく、重要な変化を含むプロセスの始まりの可能性を探りながら、マネジメントに注意して行きたいと思います。
●購入原油価格の基準と9月原油CIF参考値
<原油輸入CIF価格の当社予想


買い方に<商いをさせる>ところ

2016119日(火曜日) 「市況研究社日報」(全体観)第3120
●当社の立場と意見

穀物でも、石油でも、為替(ドル円))でも、「ここまで下げたのだから、どこかで底打ちし、強烈な切り返しが始まる」という期待感がそれぞれの市場の中に底流しており、したがって、買い方に<商いをさせるところ>では商いをさせる必要があります。
1)市場の雰囲気
「ここまで下げたのだから、どこかで底打ちし、強烈な戻り相場がある」・・・先週から今週の相場は、そういう買い方の「心の作用」を反映していると思います。つまり、買い方は「大きく下げたものほど強烈な戻り相場がある」という「先入観」をいだいているので、その「先入観」に合致するように現実を歪曲して解釈し、それに反する証拠は受け入れることができない。「大きく下げたものほど、強烈な戻り相場がある」という買い方の「心の作用(=先入観)」は、実際に、戻りを追って買うまで続くと思います。買い方に相場を張るおカネがあるうちは、「強烈な戻り相場」を期待した買い人気に迎合し、戻りに飛び乗る可能性が高いと推測しています。買い方に<商いをさせる>わけです。そして、買い方がトコトンおカネを失い、相場を張ることができなくなったとき、そういう思惑も沈静化すると思います。現在は、<相場が買い方に商いをさせているところ>ではないかと考えています。売り方は、そういうところでは一所懸命にならない方がよいと思います。
2)中国の国内総生産(GDP
中国のGDP統計は<年末からたった19日後に>、1012月期の発表があるのはあまりに早い。このため、「6.8%」か「6.9%」か、数字を細かく詮索することに意味はないと考えています。おおざっぱに<二桁(けた)の経済成長がその半分に減速している>という認識でよいと思います。
3)二ケタの経済成長が半減するとき
二ケタの経済成長からその半分程度の成長率に移行するとき、需要の伸びはどうなるのか?この問題について、根津利三郎氏が昨年(2015630日にリポートを公表しています。当社では、昨年7月の「日報」、さらに8月の「日報」で繰り返し掲載しましたが、さらにもう一度転載します。<過剰投資、過剰生産能力、過剰債務>の問題は、鉄鋼業に限ったことではない。2003年以降の「資源エネルギー・ブーム=コモディティ・バブル」と「新興国ブーム」のなかで、中国以外の南米諸国にも拡大している。中国経済の減速は、需要の伸びがゼロになるとき、多くの人たちの想定を超えるものになる公算が大きい。

根深い鉄鋼の過剰設備問題  根津 利三郎

<拡大する過剰設備
筆者は2006年にOECD鉄鋼委員会の議長に就任した。今日までの間、世界の鉄鋼産業は過剰設備とそれに起因する低収益性、そして貿易摩擦に悩まされてきた。

図は今世紀に入ってからの世界の鉄鋼生産能力と鉄鋼需要をグラフにしたものである。これから明らかなように、両者のギャップ、すなわち過剰設備は2009年の世界金融危機以降急速に拡大し、現在6億トンになっているが、これからも続きそうな模様である。

日本、欧州、米国などの先進国にとって鉄鋼産業はもはや成長産業ではなく、収益性も低いことから今世紀に入ってから新たな設備増強は唯一の例外である韓国を除けば無いといってよい。設備拡大の大半は中国、インド、東南アジア諸国など非OECD諸国である。これらの国の多くはOECDには加盟していないものの、鉄鋼委員会には代表を送り、議論に参加している。

<鍵は中国
世界鉄鋼産業の将来の鍵を握るのは中国である。鉄鋼委員会の参加各国は中国の鉄鋼産業がこれからどうなるのか強い関心を持っている。多くの場面で中国対その他世界という感じで議論が進む。現在世界全体では鉄鋼生産能力は23億トンあるが、うち11.6億トンは中国にある。実際の中国の生産量は8億トン程度だから、稼働率は70%、過剰設備は4億トン、すなわち日本の全生産能力の4倍の過剰設備があることになる。

もちろんこれらの企業は雇用を維持し、少しでも収入を得ようと、赤字覚悟の操業を続け、国の内外に低価格輸出を行っている。アメリカやヨーロッパ諸国は長いこと中国からのダンピング輸出を非難し、対抗措置をとってきたが、最近では中南米やトルコ、アジアの国々も中国非難を強めている。これに対して中国は「中国の鉄鋼輸出は全生産の4%に過ぎない。日本の輸出比率は40%を超える。輸出がけしからんというならほかにももっと悪い奴らはいる。」と反論する。

<激変する中国市場
去る20155月パリで開催された最新の鉄鋼委員会で中国の代表が行ったプレゼンは率直かつ驚くべき内容であった。本年第一四半期の中国国内の消費量は前年から6%を超える減少(生産量は-1.7%)になった、というのである。

経済全体が7%の成長を目指しているというのに、鉄鋼生産、消費はマイナスだ。そして次のように述べている。"With massive overcapacity, steel making became one of the lowest profitability industries in China" (大規模な過剰設備によって鉄鋼業は中国で最も低い収益性をもつ産業の一つとなってしまった) 実際のところ、昨年の中国鉄鋼業は全体として利益率はマイナスとなったようである。

数年前まで、中国には黒を白と言い張るような強引なところがあったが、最近は自国の問題をより率直に認めるようになっている。2013年秋に国家計画委員会が過剰設備の存在を認め、その削減のための方針を公表している。新規投資を抑制し、既存の設備についても環境規制の強化や、効率の悪い小規模高炉の建設禁止などをうたっていた。ただ細かく聞いていくと実際の権限は地方政府が握っており、地域社会への影響は雇用問題も深刻なので、中央政府の方針をそのまま実施することは難しいようなことは言っていた。5月の会合では今後23年のうちにさらに5千万トンの設備を削減すると語っていたが、これだけでは4億トンある過剰設備のほとんどはそれ以降も残ることになり、中国の過剰設備問題はかなり長期にわたり続くと言わざるを得ない。

<日本の70年代に似ている現在の中国鉄鋼業
筆者は今日の中国の鉄鋼業がおかれた状況は19735年の日本鉄鋼業のそれに共通点が多いように思う。ともに二ケタの経済成長からその半分程度の成長率に移行している。その時鉄鋼需要の伸びも半減するのかといえば、そうではない。10%成長経済と5%成長経済は経済構造が全く変わってしまい、鉄鋼需要の伸びはゼロになるのだ。日本がこのことに気が付いたのは成長屈折が起きてから10年以上たった時点であった。1.6億トンの生産設備を抱えていた日本の鉄鋼企業が、9000万トンの需要でも生きていけるよう構造改革に取り組み始めたのは1980年代に入ってからである。

筆者は中国における鉄鋼需要の低迷は決して循環的なものとみていない。これから10年、20年と中国国内の鉄鋼需要は増えないであろう。すでに世界鉄鋼協会の見通しによれば2014年に続き1516年と三年連続でマイナス成長だ。いずれ需要も盛り返すと甘い期待のもとに設備削減や構造改善を遅らせれば、それだけ苦しみの期間が長引く、というのは日本の経験から中国が学べることだ。

<問題を複雑にする国有企業
中国の鉄鋼産業の構造改革が遅れるかもしれない、と考えるもう一つの理由は、中国の鉄鋼企業のほとんどは国有企業だからである。国家(政府および共産党)は資金や人事など様々な面から国有企業経営に介入している。政府の関係者は企業の運営は民間企業と同等だと主張するが、資金は国有銀行から借りているし、国内で調達される原材料の購買価格ははっきりしない。配当もどの程度支払われているのか、よくわからない。様々な形での補助金が投入されている可能性は大きい。市場経済ならば倒産するであろう企業が生きながらえて市場をかく乱している可能性は否定できない。ただし国有鉄鋼企業は中国だけでなく、インドや東アジアの国々やその他の新興国で広範にみられている。これらの新興国は現在のところ日本や韓国、中国などから鋼材を輸入しているが、工業化を進め自国の鉄鋼企業を持ちたいとの希望は強い。国家支援のもので更なる設備増強が続く可能性は大きい。

中国でも、東南アジアでも、中東でも、そして、南米でも、新興国市場の成長ダイナミクスは「国有企業」の果たす役割が大きかった。現在でも「政府」と「国有企業」の結びつきが強い。このため「資源エネルギー・ブーム=コモディティ・バブル」の終わりは、これら諸国において<政府・権力問題>になる可能性が高い。その危機からの脱出を「さらなる生産能力の増強=輸出市場におけるシェア拡大」に求める可能性も高い。構造調整のプロセスは不透明で、長期にわたる公算が大きいので、現在の段階では「直ちに買いに回る」ことは考えていません。差し当たり、現在の1月相場では、「大きく下げたものほど、強烈な戻り相場がある」という「買い方の先入観」に商いをさせているところと考えています。穀物でも、石油でも、為替(ドル円)でも、買い方が戻りに飛び乗って買えば、買いは一巡すると思います。
●購入原油価格の基準と2月原油CIF参考値
<原油輸入CIF価格の当社予想

 


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